不動産投資をしないままで本当に大丈夫?会社員が今、一度は検討すべき5つの理由

資産運用

「NISAを始めたから、老後の資産形成はひとまず安心」

そう考えている会社員の方は少なくありません。

NISAを使った長期投資は、資産形成における重要な土台です。預金を確保し、株式や投資信託を積み立てることも、決して間違いではありません。

しかし、本当にそれだけで十分なのでしょうか。

これからの資産形成では、金融資産を増やすだけでなく、自分が働かなくても収入を生み出す資産を持てるかという視点も重要になります。

結論からお伝えすると、すべての人が不動産投資をする必要はありません。

生活資金に余裕がない人、近いうちに自宅を購入する人、短期間で大きな利益を狙っている人など、不動産投資が適さないケースもあります。

一方で、安定した収入があり、金融機関から融資を受けられる可能性がある会社員が、不動産投資を一度も検討しないまま時間を過ごすことには、見えにくい機会損失があります。

本当に注意すべきなのは、
「不動産を買わないこと」ではありません。 自分に使える可能性がある資産形成の選択肢を、検討しないまま失うことです。
この記事で分かること
  • NISAと預金だけでは補いにくい資産形成上の弱点
  • 会社員が不動産投資を一度は検討すべき理由
  • 不動産投資が向いている人と向いていない人の違い
  • 購入前に必ず確認しておきたいリスク
  • 失敗を避けるための客観的な判断方法

NISAと預金だけでは解決しにくい問題

NISAは非常に優れた制度ですが、NISAそのものが利益を生み出すわけではありません。

あくまで、株式や投資信託などから得られる利益を非課税にするための制度です。

金融資産を増やすには、基本的に自分の収入から投資資金を捻出し、長期間にわたって積み立てを続ける必要があります。

例えば、毎月5万円を投資する場合、年間の投資元本は60万円です。毎月10万円でも年間120万円です。

長期間継続すれば大きな資産に成長する可能性はありますが、資産形成の速度は、どうしても自分が毎月投入できる資金の範囲に左右されます。

NISA・投資信託の特徴

  • 少額から始めやすい
  • 流動性が比較的高い
  • 分散投資しやすい
  • 基本的に自己資金で積み立てる
  • 価格変動の影響を受ける

不動産投資の特徴

  • 融資を活用できる可能性がある
  • 家賃収入を得られる可能性がある
  • 現物資産を保有できる
  • 物件ごとの個別性が大きい
  • 空室・修繕・金利などのリスクがある

不動産投資には、本人の年収、勤務先、勤続年数、年齢、保有資産などの条件によって、金融機関の融資を活用できる可能性があります。

自己資金だけでは取得できない規模の資産を保有し、家賃収入をローン返済や運営費の一部に充てながら、長期的に資産形成を進められる点は、金融投資にはない特徴です。

もちろん、融資を使えば必ず資産が増えるわけではありません。

物件価格、家賃、空室、管理費、修繕積立金、固定資産税、金利、売却価格まで含めて、事業として成立する物件を選ぶことが前提です。

会社員が不動産投資を一度は検討すべき5つの理由

1 現金の価値が少しずつ目減りしているから

物価が上昇する環境では、預金残高が減っていなくても、そのお金で買える商品やサービスの量は少なくなります。

総務省が公表した2026年4月の消費者物価指数では、総合指数は前年同月比1.4%上昇しました。

さらに日本銀行は、2026年4月時点の見通しで、2026年度の生鮮食品を除く消費者物価指数を前年度比2.8%と予測しています。

仮に物価が毎年2%ずつ上昇した場合 現在の1,000万円の購買力は
20年後に約673万円相当
1,000万円という残高は変わらなくても、実質的に買えるものが減るという意味です。

これは、預金を持つべきではないという話ではありません。

生活防衛資金や近い将来に使うお金は、預金で確保する必要があります。

ただし、長期間使う予定のない資産まで現金だけで保有する場合、物価上昇によって購買力が低下する可能性があります。

不動産の価格や家賃が必ず物価と同じように上がるわけではありませんが、現物資産を組み入れることは、現金だけに偏った資産構成を見直す方法の一つになります。

2 自己資金だけの資産形成には速度の限界があるから

株式や投資信託への投資では、原則として自分で用意したお金を運用します。

毎月積み立てられる金額が5万円なら、年間の元本は60万円。10万円なら年間120万円です。

一方、不動産投資では、一定の条件を満たせば金融機関から融資を受け、自己資金を上回る規模の資産を保有できる可能性があります。

このように、借入金を活用して投資規模を拡大することを、一般にレバレッジと呼びます。

レバレッジは利益を拡大する可能性がある一方、損失や資金負担も拡大させます。

だからこそ、単に「融資が通るから買う」のではなく、金利が上昇した場合や、空室が発生した場合でも、家計全体が耐えられるかを確認しなければなりません。

不動産投資で重要なのは、借りられる金額ではなく、無理なく保有し続けられる金額です。

3 資産残高だけでなく「毎月の収入源」が必要になるから

会社員の大きな強みは、毎月安定した給与が入ることです。

しかし、給与を受け取れる期間には限りがあります。定年や退職を迎えれば、現役時代と同じ収入を維持することは難しくなります。

公的年金は老後生活を支える重要な制度ですが、一般的に現役時代の収入をそのまま置き換える制度ではありません。

金融資産だけで老後を準備する場合、退職後は保有資産を少しずつ取り崩して生活費に充てることになります。

一方、不動産から家賃収入を得られる状態を作ることができれば、資産を取り崩すだけでなく、毎月の収入を生み出す仕組みを持てる可能性があります。

老後の安心を考えるうえでは、資産総額だけでなく、毎月いくらの継続収入が入る状態を作れるかも重要です。

4 条件の良い物件を同じ価格で買えるとは限らないから

国土交通省が公表した2026年の地価公示では、全国平均の住宅地、商業地、全用途平均が、いずれも5年連続で上昇しました。

三大都市圏についても、住宅地、商業地、全用途平均のいずれも5年連続で上昇し、上昇幅が拡大しています。

ただし、これは日本全国のすべての不動産価格が上昇するという意味ではありません。

人口が減少する地域、賃貸需要が弱い地域、駅から遠い物件、管理状態の悪い物件などは、価格や家賃が下落する可能性があります。

重要なのは、単純に「地価が上がっているから買う」ことではありません。

人口動態、駅からの距離、周辺賃料、入居率、供給戸数、管理状態、修繕計画などを確認し、長期的に需要が残りやすい不動産を選ぶことです。

良い物件ほど価格が上がり、期待できる利回りが低下することもあります。

何年も検討を先送りした結果、以前より高い価格や不利な条件でなければ取得できなくなる可能性もあります。

5 現在の信用力を将来も同じように使えるとは限らないから

不動産投資で融資を受けられるかどうかは、物件の価値だけでなく、本人の状況にも左右されます。

金融機関や商品によって基準は異なりますが、一般に年収、勤務先、勤続年数、年齢、健康状態、保有資産、既存の借入などが審査材料になります。

現在は安定した収入があっても、転職、独立、収入減少、住宅ローンの借入、家族構成や健康状態の変化などにより、将来も同じ条件で融資を受けられるとは限りません。

会社員として安定した収入がある期間は、給料を受け取る期間であると同時に、金融機関からの信用を資産形成に活用できる可能性がある期間でもあります。

不動産を買うかどうかは別として、自分がどのような条件で検討できるのかを確認しておく価値はあります。

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ただし、焦って不動産を買う必要はない

ここまで読むと、「早く不動産を買わなければならない」と感じた方もいるかもしれません。

しかし、焦って物件を購入する必要はありません。

不動産投資では、何も買わないことよりも、条件の悪い物件を購入してしまうことの方が大きな問題になる場合があります。

次のような提案には特に注意が必要です
  • 周辺相場と比べて販売価格が高い
  • 現在の高い家賃が長期間続く前提になっている
  • 空室期間や家賃下落が収支に反映されていない
  • 管理費や修繕積立金の値上げが想定されていない
  • 金利上昇後の返済額が試算されていない
  • 設備交換や原状回復の費用が含まれていない
  • 売却時の価格が過度に楽観的
  • 節税効果だけが強く説明されている
  • 契約を急がせる理由が曖昧である

不動産投資では、毎月の収支が数千円違うだけでも、10年、20年という期間では大きな差になります。

購入価格が相場より高ければ、購入した時点で売却価格との差が生まれ、長期間保有しても利益を確保しにくくなる可能性があります。

購入前には、現在の収支だけでなく、金利上昇、家賃下落、空室、修繕、税金、将来の売却まで含めた全体像を確認する必要があります。

不動産投資が向いている可能性がある人

  • 会社員や公務員として安定した収入がある
  • 当面の生活防衛資金を確保できている
  • NISAなどの金融資産運用も行っている
  • 10年、20年単位で資産形成を考えられる
  • 短期的な値上がりより長期保有を重視する
  • 金利や空室などのリスクを理解して判断できる
  • 老後に給与や年金以外の収入源を作りたい
  • 借入を感情ではなく数字で管理できる

不動産投資を急がない方がよい人

  • 生活費や緊急資金に余裕がない
  • 高金利の借入やリボ払いを抱えている
  • 近いうちに自宅購入や独立を予定している
  • 短期間で大きく儲けたいと考えている
  • 赤字や突発的な修繕費に耐えられない
  • 提案された数字を確認せず、担当者に任せたい

重要なのは、不動産投資をすること自体ではありません。

自分の収入、資産、年齢、家族構成、住宅購入予定、将来設計に照らして、不動産が本当に必要なのかを判断することです。

購入前に最低限確認したい7つの数字

不動産会社から物件の提案を受けたときは、少なくとも次の数字を確認してください。

  • 周辺の実際の成約賃料と募集賃料
  • 管理費・修繕積立金・管理委託費
  • 固定資産税・都市計画税
  • 空室や家賃下落を反映した収支
  • 金利が上昇した場合の返済額
  • 設備交換や原状回復に必要な費用
  • 将来売却する場合の想定価格と売却費用

販売会社が提示する毎月の収支がプラスでも、修繕費、空室、税金、売却時の損益まで含めると、結果が大きく変わることがあります。

表面利回りや毎月の収支だけでなく、保有期間全体でいくらのお金が入り、いくら出ていくのかを確認することが重要です。

不動産会社の無料相談だけで決めてよいのか

不動産会社の担当者が、必ずしも間違った説明をするわけではありません。

ただし、不動産会社は物件が売れることで利益を得る事業者です。

そのため、提案された物件を購入すべきか判断するときは、販売担当者の説明だけではなく、別の視点から数字を確認することが有効です。

特に、数千万円規模の融資を利用する場合、一度契約した後で簡単にやり直すことはできません。

判断に迷う場合は、次の点を第三者に確認してもらう方法があります。

  • 販売価格が周辺相場と比べて妥当か
  • 想定家賃が現実的か
  • 提示された収支に抜けている費用がないか
  • 借入額が本人の家計に対して過大ではないか
  • 金利上昇や空室に耐えられるか
  • 将来の売却計画に現実性があるか

数千万円の投資判断では、「買う勇気」よりも「買わない判断ができる基準」の方が重要です。

専門家への相談は、物件を買うためだけに行うものではありません。

条件が悪ければ見送る、自分に向いていなければ始めない。その判断を数字に基づいて行うためのものです。

不動産を買うかではなく、自分に使えるかを確認する

不動産投資をしないこと自体が、直ちに危険なわけではありません。

本当の機会損失は、自分に融資を活用できる可能性があるにもかかわらず、メリットとリスクを確認しないまま時間だけが過ぎることです。

検討した結果、「今は買わない」「自分には向いていない」という結論になっても問題ありません。

むしろ、条件に合わない物件を勢いで買うよりも、はるかに合理的な判断です。

一方、自分に適した選択肢であることが分かれば、給与、預金、NISAだけに依存しない、新たな資産形成の仕組みを作れる可能性があります。

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よくある質問

まだ購入する物件が決まっていなくても相談できますか?

はい。これから不動産投資を検討する方も相談できます。現在の収入、資産状況、将来計画などを踏まえ、どのような点を確認しながら検討すべきかを整理できます。

不動産会社から物件を提案されている段階でも相談できますか?

はい。販売図面、収支シミュレーション、融資条件などがあれば、提示されている数字の妥当性や見落とされているリスクを確認しやすくなります。

相談したら不動産を買わなければいけませんか?

いいえ。相談の目的は、購入を前提にすることではなく、数字に基づいて判断できる状態を作ることです。条件が合わない場合は、見送ることも重要な選択です。

すでに不動産を所有していても相談できますか?

はい。保有物件の収支、管理会社、空室対策、売却時期、今後のポートフォリオなどについて相談できます。

本記事について
本記事は、不動産投資に関する一般的な情報提供を目的としたものです。特定の物件の購入、価格上昇、家賃収入、節税効果、投資成果を保証するものではありません。

不動産投資には、物件価格の下落、空室、家賃下落、修繕費、金利上昇、災害、流動性の低下などのリスクがあります。実際の投資判断は、ご自身の資産状況、借入状況、目的、リスク許容度などを踏まえて行ってください。

参考資料

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赤坂ファイナンシャル株式会社 代表取締役
元大手企業勤務、3,000人以上の相談実績と著書『地味な投資で2000万円』を持つお金のプロ。ファイナンシャルプランナー、クレジットカードアドバイザー®として、難しい金融の話を初心者向けにわかりやすく解説しています。
主な実績

著書:『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』
メディア出演:テレビ朝日「グッド!モーニング」、週刊SPA!、現代ビジネス、プレジデントオンライン等 多数
講演実績:一部上場企業、経営者団体など

この記事の監修者:まさとFPの全プロフィールと実績はこちら