「たくさん稼いでいるはずなのに、なぜか手元にお金が残らない…」
あなたも、そんな風に感じたことはありませんか?
かつて、ビートたけしさんが「年10億円納税した」と語り話題になりました。「稼いでも全部税務署に持っていかれる」という言葉は、実は高額所得者だけの話ではありません。これは、日本で働く私たち全員に関わる「お金の真実」を突いています。
この記事では、なぜ収入を上げるだけでは豊かになれないのか、その根本原因である「税金の仕組み」を解き明かし、お金持ちが実践している「本当に賢いお金の増やし方」を、資産運用のプロであるFPが徹底解説します。
残酷な現実。年収を上げても「手取り」が増えない日本の税金の仕組み
頑張って昇進し、年収が上がったとしても、思ったほど生活が楽にならない。その最大の原因は、日本の「累進課税」という所得税の仕組みにあります。
稼げば稼ぐほど高くなる所得税率
累進課税とは、所得が高くなればなるほど、より高い税率が適用される仕組みのことです。まずは最新の所得税率を見てみましょう。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
※国税庁「所得税の速算表」より(2025年8月時点)
※上記に加えて、一律約10%の住民税がかかります。
例えば、課税所得が4,000万円を超えると、所得税と住民税を合わせて最大55%もの税金がかかります。たけしさんが「10億円納税した」ということは、単純計算で20億円近く稼いでも、手元に残るのは10億円程度ということです。これは、まさに「半分税金に持っていかれる」状態なのです。
【年収別】手取り額シミュレーション。あなたの場合は?
これは富裕層だけの話ではありません。例えば、年収700万円のサラリーマンの場合、所得税率は23%、住民税と合わせると33%になります。年収の約3分の1が税金として引かれる計算です。これでは、年収が上がっても手取りの伸びが鈍く感じるのは当然と言えるでしょう。
年収別・税金のインパクト
- 年収500万円の場合:所得税・住民税の負担はまだ比較的軽め。昇給が手取りに反映されやすい。
- 年収700万円の場合:税率が一段上がり、税金の負担を重く感じ始める分岐点。
- 年収1,000万円の場合:高所得者向けの控除が適用外になることも。稼ぎの多くを税金で持っていかれる感覚が強くなる。
※上記はあくまで目安です。扶養家族の有無や各種控除によって変動します。
この「稼ぐほどに増える税金」の壁を、どうすれば乗り越えられるのでしょうか。
お金持ちの常識。「所得の種類」を変えて税金をコントロールする
では、本当のお金持ちはどうやって資産を築いているのでしょうか?彼らは年収(給与所得)を闇雲に上げるのではなく、もっと賢い方法を取っています。それは「所得の種類」を変えることです。
実は、所得の種類によって税金の計算方法が大きく異なるのです。
給与所得 vs 分離課税の所得
サラリーマンが会社から受け取る給料は「給与所得」として、先ほどの累進課税が適用されます。一方で、お金持ちが主な収入源としている株式の配当や売却益、不動産の売却益などは、多くの場合「分離課税」という別の方法で税金が計算されます。
給与所得(累進課税)
税率:最大55%
稼げば稼ぐほど税率が上がり、手取りが増えにくい。コントロールが難しい。
分離課税の所得(株・不動産など)
税率:約20%
所得額に関わらず税率がほぼ一定。税負担を予測しやすく、コントロールしやすい。
長者番付の常連であるソフトバンクの孫正義さんを例に見てみましょう。彼の役員報酬(給与所得)は高額ですが、総資産の大部分は、彼が保有する株式からの配当金(配当所得)によって築かれています。この配当所得にかかる税率は、所得税・住民税合わせて約20%。給与所得の最大税率55%と比べて、いかに有利かが分かります。
つまり、資産運用の本質とは、ただ利回りを追い求めるだけでなく、「税率の低い所得」が得られる資産に、自分の現金を計画的に変えていくことなのです。
サラリーマンが今日からできる「税金を味方につける」資産形成術
「お金持ちのやり方は分かったけど、自分には関係ない…」と思うのはまだ早いです。私たちサラリーマンにも、税金の恩恵を受けながら資産を育てる方法はあります。ここでは、初心者でも始めやすい3つの方法をご紹介します。
1. NISA(ニーサ):非課税の恩恵を最大限に活用
NISA(少額投資非課税制度)は、国が用意してくれた最大の税金優遇制度です。通常、投資で得た利益(運用益)には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内での取引なら、この税金が全額非課税になります。
2024年から始まった新NISAでは、非課税で投資できる上限額も大幅に拡大しました。まずはNISA口座を開設し、税金の心配なく投資をスタートさせることが、資産形成の第一歩です。
>>NISA・iDeCoだけでは不十分?不動産投資を組み合わせるべき理由
2. iDeCo(イデコ):所得控除で毎年の税金を減らす
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、私的年金をつくる制度です。最大のメリットは、掛け金が全額「所得控除」の対象になること。これにより、毎年の所得税と住民税を直接安くすることができます。
さらに、運用益は非課税(NISAと同様)、受け取る時にも大きな控除があるなど、税制上のメリットが非常に大きい制度です。ただし、原則60歳まで引き出せないため、老後資金づくりに特化した方法と言えます。
3. 不動産投資:サラリーマンの強みを活かす資産形成
そして、もう一つの強力な選択肢が「不動産投資」です。特に、サラリーマンがローンを活用して始める都心の中古ワンルームマンション投資は、税制面でユニークなメリットがあります。
不動産投資の税制メリット
- 損益通算:不動産経営で出た赤字(会計上の赤字)を給与所得と合算し、確定申告で納めすぎた税金の還付を受けられる場合がある。
- レバレッジ効果:自己資金が少なくても、ローンを活用して大きな資産を運用できる。>>レバレッジの仕組みを解説
- 生命保険効果:団体信用生命保険に加入するため、万が一の際にはローンが完済され、家族に無借金の資産を残せる。>>生命保険の見直しも
- インフレ対策:現金や預金と違い、インフレ時には家賃や物件価値の上昇が期待できる実物資産。>>インフレと不動産
不動産投資の注意点
- 空室リスク:入居者がいなければ家賃収入はゼロになる。エリア選定が最重要。>>空室リスク対策
- 金利上昇リスク:変動金利ローンの場合、金利が上がると返済額が増える可能性がある。>>金利上昇リスク対策
- 流動性の低さ:株のようにすぐに現金化することは難しい。
- 物件選びの難しさ:良い物件、信頼できる不動産会社を見極める専門知識が必要。>>失敗しない不動産会社の選び方
不動産投資は、家賃収入(インカムゲイン)という安定したキャッシュフローを生み出しながら、税金の仕組みをうまく活用できる、サラリーマンにとって非常に相性の良い資産形成術なのです。
>>年収500万円のサラリーマンにこそ「区分マンション投資」が最適な理由
まとめ:給料だけに頼る時代は終わった。「税金を味方につける」発想へ
ビートたけしさんのエピソードは、私たちに「稼ぎ方」だけでなく「お金の守り方・育て方」の重要性を教えてくれます。
- 日本の所得税は累進課税。収入を上げるだけでは税金が増え、手取りは伸び悩む。
- お金持ちは、税率が低い「分離課税」の対象となる株や不動産などで資産を築いている。
- 資産運用の本質は、現金を「税制上有利な資産」に計画的に変えていくこと。
- サラリーマンはNISAやiDeCoに加え、不動産投資を組み合わせることで、税金をコントロールしながら効率的に資産を形成できる。
給料という一本の柱に頼るのではなく、税金の知識を身につけ、賢く資産を運用していく。それこそが、これからの時代を豊かに生き抜くための新しい「お金の法則」です。まずは情報収集から始めてみませんか?
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よくある質問(Q&A)
Q. なぜお金持ちは給料を低く抑えるのですか?
A. 日本の所得税は、給料(給与所得)が高くなるほど税率が上がる「累進課税」だからです。最高税率は住民税と合わせて55%にもなります。一方で、自身が経営する会社の株式からの配当金(配当所得)や、不動産・株式の売却益(譲渡所得)にかかる税率は約20%と、給与所得に比べて大幅に低く設定されています。そのため、給料を高く設定するよりも、会社の利益を増やして配当金として受け取ったり、資産そのものの価値を上げたりする方が、税金を抑えて効率的に手元にお金を残せるのです。
Q. 年収500万円ですが、資産運用を始めるべきでしょうか?
A. はい、ぜひ始めることをお勧めします。年収500万円は、税金の負担がまだそれほど重くなく、かつ生活にも少しずつ余裕が出てくる時期です。この段階からNISAなどを活用して少額からでも投資を始めることで、将来の資産に大きな差が生まれます。また、不動産投資ローンの審査においても有利に働くことが多い年収ラインです。将来のインフレや増税に備えるためにも、早めにスタートすることが重要です。
Q. 不動産投資はリスクが高いイメージがあります。
A. どのような投資にもリスクは存在しますが、不動産投資のリスクは事前に対策を立てることでコントロールしやすいのが特徴です。例えば、「空室リスク」は入居者需要の高い都心の物件を選ぶことで、「金利上昇リスク」は繰り上げ返済を計画したり、固定金利を選択したりすることで備えられます。最も重要なのは、リスクを正しく理解し、信頼できるパートナー(不動産会社)を選ぶことです。当社では、リスクについても包み隠さずご説明し、お客様一人ひとりに合ったプランをご提案しています。

赤坂ファイナンシャル株式会社 代表取締役
元大手企業勤務、3,000人以上の相談実績と著書『地味な投資で2000万円』を持つお金のプロ。ファイナンシャルプランナー、クレジットカードアドバイザー®として、難しい金融の話を初心者向けにわかりやすく解説しています。
主な実績
著書:『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』
メディア出演:テレビ朝日「グッド!モーニング」、週刊SPA!、現代ビジネス、プレジデントオンライン等 多数
講演実績:一部上場企業、経営者団体など