【FPが回答】区分マンションはいつまで持ち続けるべき?出口戦略で失敗しないための売却タイミング判断基準

資産運用

「老後の年金代わりに」「知人に勧められて」…様々な理由で購入した、あなたの区分マンション。しかし、心のどこかで「本当にこのまま持ち続けて大丈夫だろうか?」「売り時はいつなんだろう?」と、ふとした瞬間に不安がよぎることはありませんか?

ご安心ください。その不安や直感は、おそらく正しいです。

なぜなら、これまで500件以上の資産相談に乗ってきた私が断言しますが、不動産投資で手遅れになる方の9割が、「思考停止」で物件を持ち続けてしまった人たちだからです。

この記事を最後まで読めば、巷の不動産情報に惑わされることなく、「あなた自身の状況に合わせた最適な売却タイミング」を判断するための具体的なモノサシが手に入ります。あなたの貴重な資産を「負動産」にしないために、ぜひ最後までお付き合いください。

結論:私が「思考停止での長期保有」に警鐘を鳴らす、3つの残酷な現実

なぜ、ただ持ち続けることが危険なのでしょうか?まずはFPである私が日々の相談で目の当たりにする、甘いシミュレーションの残酷な末路を3つの切り口で解説します。

現実①【家賃下落と空室】:「30年家賃保証」を信じたオーナーの末路

「新築時の家賃がずっと続く」…残念ながら、それは幻想にすぎません。一般的に、家賃は築10年で約10%、築20年で約20%下落すると言われています。人口減少が進むエリアでは、下落率はさらに大きくなるでしょう。

私が実際に見た悲惨なケースでは、購入時に「30年一括借り上げ(サブリース)だから安心ですよ」と言われた60代のオーナー様が、わずか10年で業者から一方的に賃料減額を要求され、断ると契約解除をチラつかされた、というものがありました。甘い言葉の裏には、必ず知っておくべきリスクが潜んでいます。

現実②【税金と修繕費】:利益を食い潰す「見えないコスト」の正体

キャッシュフローが黒字だからと安心するのは危険です。特に注意すべきは、ローン返済後に牙をむく「税金」と、必ずやってくる「大規模修繕」です。

不動産所得の計算では、建物の減価償却費を経費にできますが、これがなくなる(=償却期間が終わる)と、帳簿上の利益が急増し、所得税・住民税が跳ね上がります。さらに、築年数が進めば修繕積立金は段階的に値上がりし、大規模修繕時には一時金の徴収が発生することも珍しくありません。長期修繕計画を軽視してはいけません。

私がクライアントの収支シミュレーションを作り直すと、ほとんどのケースで購入後15年~20年を境に、税引後の手残りが実質赤字に転落します。

現実③【資産価値】:売りたい時に売れない「塩漬け物件」の恐怖

最も恐ろしいのは、いざ売却したいと思った時に「買い手がつかない」「ローン残債以下の価格でしか売れない」という「塩漬け状態」に陥ることです。

特に、旧耐震基準の物件、地方のワンルーム、特定のワンルームマンション規制の対象となる物件などは、将来的に流動性が著しく低下するリスクを抱えています。

相続が発生した時、子供たちが誰も欲しがらず、売るにも売れず、固定資産税だけがかかり続ける…。そんな「負動産」を家族に残してしまうご相談が、私の元には後を絶たないのです。

【実録】出口戦略で天国と地獄。明暗が分かれた2人の40代会社員

「出口戦略」ひとつで、未来がどれほど変わるか。私が担当した、非常に対照的な2人のクライアントの実例をご紹介します。

Aさんの悲劇:購入後15年、毎月赤字を垂れ流す「お荷物」に…

Aさん(45歳・年収700万)は、15年前に新築ワンルームマンションを「節税になる」と勧められ購入。営業マンの言葉を信じ、購入後は特に収支を見直すこともなく放置していました。

しかし15年後、気づけば家賃は当初より2万円も下落し、管理費・修繕積立金は倍近くに。ローンの金利上昇も重なり、毎月2万円の赤字が出ていました。慌てて売却しようにも、提示された査定額はローン残債を300万円も下回る金額。「売るに売れない」地獄に陥ってしまったのです。

Bさんの成功:同じく15年後、最適なタイミングで売却!利益を元手に次の資産へ

Bさん(48歳・年収800万)は、15年前に中古ワンルームを購入。彼は購入時から私のようなFPに相談し、5年ごとに収支と資産価値を客観的に見直すことを習慣にしていました。

そして購入後14年目、不動産市況が良く、ローン残債も十分に減ったタイミングで売却を決断。結果、購入時とほぼ同額で売却でき、約500万円の現金を手元に残すことに成功しました。彼はその利益を元手に、米国株のインデックスファンドへの投資を始め、新たな資産形成のステージに進んでいます。

この2人の違いは、たった一つ。それは「専門家という客観的な視点」を持ち、定期的に戦略を見直していたかどうかです。

あなたはどれ?プロが必ず確認する「売却タイミング」5つの判断基準

では、具体的にどう判断すればいいのか。私がクライアントに最適な売却タイミングをアドバイスする際、必ずテーブルに並べる5つのモノサシ(判断基準)をあなたにもお教えします。

  • 判断基準①【築年数】:なぜ「築20~25年」が一つの目安なのか?
    多くのマンションでは、2回目(築25年前後)の大規模修繕で多額の費用がかかります。また、金融機関の評価も厳しくなり、次の買い手が見つかりにくくなるのがこの時期です。
  • 判断基準②【ローン残債】:残債割れを避けるための「売却価格 × 90%」の法則
    売却時には仲介手数料などの諸経費がかかります。売却価格がローン残債を上回っていても、手元にお金が残らないケースはザラにあります。最低でも「ローン残債 < 売却想定価格の90%」となっているかが一つの目安です。
  • 判断基準③【キャッシュフロー】:減価償却の魔法が解け「黒字倒産」する前に
    前述の通り、減価償却が終わると税負担が急増し、手残りが赤字に転落するタイミングが訪れます。その節税効果の逆転現象が起きる前に売却を検討するのも賢明な判断です。
  • 判断基準④【不動産市況】:金利と価格の「潮目」を読む
    不動産価格が高騰し、かつ低金利である時期は、高く売却できる絶好のチャンスです。金利が上昇局面に入ると、買い手のローン審査が厳しくなり、市場は冷え込みます。市況という「追い風」が吹いているうちに判断することが重要です。
  • 判断基準⑤【あなたのライフプラン】:最大の判断基準は「あなたの人生」です
    最も重要なのがこの視点です。お子様の進学、ご自身の転職やリタイア、他の投資への挑戦など、あなたの人生のイベントに合わせて資産の形を最適化することが大切です。ライフプランシミュレーションを行い、不動産をいつ現金化すべきか考える。私が最も時間をかけてヒアリングするのが、この部分です。

【FPが本音で回答】区分マンションの出口戦略 Q&A

ここでは、相談でよく受ける質問とその回答を共有します。

Q1. ローンを完済すれば、ずっと家賃収入が入るから得じゃないですか?

A. その考え方は非常に危険です。ローンが終わっても、固定資産税、管理費・修繕積立金、そして所得税・住民税の支払いは続きます。特に建物の老朽化が進むと修繕コストは増大し、家賃収入のほとんどが維持費で消えてしまうこともあります。完済はゴールではなく、新たな戦略を考えるべき「節目」と捉えるのが正解です。

Q2. 新築ワンルームと中古ワンルーム、売り時は違いますか?

A. 全く違います。新築物件は、購入した瞬間に「新築プレミアム」が剥落し、価値が2~3割下がると言われています。そのため、購入後5年以内の短期で売却すると、ほぼ確実に大きな損失が出ます。新築の場合は、ある程度の長期保有が前提となります。一方で、価格が下落しきった優良な中古物件は、市況が良ければ比較的短期の売却で利益を出すことも可能です。詳しくは「新築vs中古ワンルーム投資、あなたに合うのはどっち?」の記事も参考にしてください。

Q3. 少しでも高く、有利に売却するためのコツはありますか?

A. あります。私がいつもクライアントにお伝えしている3つの秘訣は、①入居者がいる状態で売却活動を始めること(オーナーチェンジ)、②複数の不動産会社に査定を依頼し、専任媒介契約を急がないこと、③そして最も重要なのが、あなたの物件の「強み」を一番理解してくれる、売却に強いパートナーを見つけることです。詳しくは「区分マンション投資の出口戦略」で解説しています。

まとめ:最高の出口戦略は「客観的なパートナー」を見つけることから始まる

ここまで読んで、ご自身の状況に不安を感じたかもしれません。しかし、それは将来のリスクから目を背けていない、健全な証拠です。最も危険なのは、その不安に蓋をして「思考停止」してしまうことです。

最後に、本日の要点を振り返ります。

  • 「思考停止」での長期保有は、家賃下落・コスト増・資産価値下落の3大リスクを伴う。
  • 売却タイミングは「築年数」「ローン残債」「キャッシュフロー」「市況」「ライフプラン」の5つの視点で総合的に判断する。
  • 物件の都合ではなく、あなたの人生の都合に合わせて資産の形を最適化することが最も重要。

物件に100%の正解はありません。しかし、あなたの人生にとっての「最適な戦略」は必ず存在します。一人で悩まず、あなたの資産状況とライフプランを客観的に分析し、伴走してくれるパートナーを見つけること。それこそが、出口戦略で成功するための唯一の方法だと私は確信しています。

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赤坂ファイナンシャル株式会社 代表取締役
元大手企業勤務、3,000人以上の相談実績と著書『地味な投資で2000万円』を持つお金のプロ。ファイナンシャルプランナー、クレジットカードアドバイザー®として、難しい金融の話を初心者向けにわかりやすく解説しています。
主な実績

著書:『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』
メディア出演:テレビ朝日「グッド!モーニング」、週刊SPA!、現代ビジネス、プレジデントオンライン等 多数
講演実績:一部上場企業、経営者団体など

この記事の監修者:まさとFPの全プロフィールと実績はこちら