【行動経済学で解明】なぜかお金が貯まる人の”思考の正体”|FPが教える「貯蓄体質」インストール・完全ガイド
「給料日直後は気が大きくなるのに、月末にはいつもカツカツ…」
「今年こそ貯金しよう!と誓ったのに、もう8月…目標には程遠い」
もし、こんな経験があるなら、まず自分を責めるのをやめてください。これまで500件以上の家計相談に乗ってきたFPとして断言します。お金が貯まらないのは、あなたの意志が弱いからではなく、人間の脳に仕組まれた”思考の罠”にはまっているだけなのです。
この記事では、最新の「行動経済学」の知見に基づき、なぜあなたのお金が貯まらないのか、その根本原因を解明します。その上で、意志や根性に頼らず、誰でも再現可能な「貯蓄体質」を脳にインストールするための全手順を、具体的にお伝えします。
【自己診断】あなたがお金が貯まらない本当の理由とは?
まず、なぜ無駄遣いをしてしまうのか、その正体を知りましょう。人間の不合理な経済行動を研究する「行動経済学」が、3つの代表的な”思考の罠”を教えてくれます。
罠①:明日の10万円より、今日の1万円を選んでしまう「現在志向バイアス」
人間の脳は、将来の大きな利益よりも、目の前の小さな快楽を優先するようにできています。「老後のため」と頭でわかっていても、「今欲しい服」「今行きたい飲み会」にお金を使ってしまうのは、この強力なバイアスのせいです。
罠②:”自分へのご褒美”という魔法の言葉「メンタルアカウンティング(心の家計簿)」
「頑張ったから」「ストレス発散に」といった理由をつけて、特定の支出を”必要経費”として別勘定にしてしまう心の働きです。この「ご褒美」という名の聖域を作ってしまうと、支出のコントロールが非常に難しくなります。
罠③:”みんな持っているから”という安心感「バンドワゴン効果」
SNSで流行りのアイテムや、友人が持っているブランド品など、多くの人が支持しているものに価値を感じ、自分も欲しくなってしまう心理です。自分の「本当に欲しい」ではなく、他人の価値観で買い物をしていると、お金はいくらあっても足りません。
これらの罠を知るだけで、お金を使う前に「今、私はバイアスにはまっていないか?」と一歩引いて考えるきっかけになります。
STEP1:思考改革|お金が自然と集まる「貯蓄脳」インストール術
思考の罠を理解したら、次はその罠を回避する新しい思考=「貯蓄脳」をインストールします。
習慣①:支払う前に「それは消費?浪費?投資?」と3秒考える
すべての支出をこの3種類に分類する癖をつけましょう。レシートを見返すだけでも効果絶大です。
分類 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
消 費 | 生活に必要不可欠な支出 | 家賃、食費、水道光熱費 |
浪 費 | 必要ではないが、満足度を高める支出 | 過度な外食、衝動買いした服 |
投 資 | 将来の自分を豊かにするための支出 | 書籍代、資格取得費用、資産運用 |
目標は「浪費を減らし、その分を投資に回す」ことです。何が自分にとっての「浪費」かを知ることが、全ての始まりです。
習慣②:そのお金は「何時間分の労働」に相当するか考える
1万円の服が欲しくなったら、「これを手に入れるために、自分は何時間働いたんだろう?」と考えてみてください。時給1,500円なら約7時間分です。自分の大切な時間と引き換えにする価値が本当にあるのか、冷静に判断できるようになります。
STEP2:仕組み化|意志力ゼロでOK!鉄壁の”自動貯金システム”
思考が変わっても、意志の力だけに頼るのは危険です。「現在志向バイアス」に抗う最強の武器は、有無を言わさずお金を貯めてしまう「仕組み」です。
最も基本で、最も強力な方法。給与振込口座の「自動積立定期預金」や、ネット銀行の「定額自動入金・送金サービス」を利用し、給料が入った瞬間に貯蓄用口座へお金を強制移動させます。「残ったら貯金」ではなく、「貯蓄した残りで生活する」のです。
変動費(食費・交際費など)の使いすぎを防ぐテクニック。1ヶ月分の変動費予算を4〜5つの封筒に分け、1週間はその封筒の中だけでやりくりします。週末に余ったお金は、ご褒美用の貯金箱へ。ゲーム感覚で支出をコントロールできます。
クレジットカードやスマホ決済をメインに使う方は、特定の決済サービスと連携できるアプリがおすすめです。決済ごとにおつり相当額を自動で積立投資に回したり、貯まったポイントで投資信託を購入したりと、文字通り「知らないうちに」資産形成が進みます。
STEP3:支出削減|我慢は不要!効果絶大な”固定費ハック”
貯める仕組みを作ったら、次に出ていくお金を最適化します。食費を切り詰めるような辛い節約ではなく、一度見直せば効果がずっと続く「固定費」から手をつけるのが鉄則です。
- スマートフォン料金:大手キャリアから格安SIMに乗り換えるだけで、月5,000円以上の節約も可能。
- 生命保険:社会人になった時に入ったままの保険はありませんか?ライフステージに合わせて見直すことで、保険料を大幅に削減できるケースが多いです。
- サブスクリプション:利用していない動画配信サービスやアプリに、毎月お金を払っていませんか?利用明細をチェックし、不要なものは即解約しましょう。
これらの固定費削減については、こちらの記事「【FPが完全解説】貯金を増やす方法」でさらに詳しく解説しています。
FPが回答!貯金のよくあるお悩みQ&A
Q1. 収入が低くて、貯金に回すお金がありません。
A. 気持ちは非常にわかります。その場合、まずは「金額」ではなく「貯金する習慣」をつけることを最優先してください。月1,000円、いや500円でも構いません。「先取り貯金」を必ず実行し、「自分は毎月貯金できている」という成功体験を積み重ねることが重要です。その上で、転職や副業など収入を増やすアクションを並行して考えましょう。
Q2. クレジットカードの借金(リボ払い)があります。貯金より返済が先ですか?
A. はい、間違いなく返済が最優先です。リボ払いの金利は年15%前後と非常に高く、どんな資産運用もこの利回りを上回るのは困難です。貯金をする前に、まずは全力で繰り上げ返済をしてください。借金の返済こそが、最も確実で高利回りな「自分への投資」です。
まとめ:貯蓄体質は、一生モノの最強スキル
お金が貯まらないのは、あなたの性格のせいではありません。脳のクセを知り、正しい「思考」「仕組み」「習慣」を身につければ、誰でも必ず「貯蓄体質」に変わることができます。
- 思考の罠を理解し、支出を「消費・浪費・投資」に分類する。
- 意志の力に頼らず、「先取り貯金」で自動的にお金を貯める仕組みを作る。
- 我慢の節約ではなく、効果の大きい「固定費」から見直す。
この体質は、一度身につければ一生あなたを助けてくれる最強のスキルになります。まずは今日の帰り道、いつも買うペットボトル飲料を一本我慢して、その150円を貯金箱に入れることから始めてみませんか?その小さな一歩が、あなたの未来を大きく変えるはずです。
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赤坂ファイナンシャル株式会社 代表取締役
元大手企業勤務、3,000人以上の相談実績と著書『地味な投資で2000万円』を持つお金のプロ。ファイナンシャルプランナー、クレジットカードアドバイザー®として、難しい金融の話を初心者向けにわかりやすく解説しています。
主な実績
著書:『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』
メディア出演:テレビ朝日「グッド!モーニング」、週刊SPA!、現代ビジネス、プレジデントオンライン等 多数
講演実績:一部上場企業、経営者団体など