「投資を始めたいけど、いつ買えばいいかわからない…」
「一度に大きな金額を投資するのは怖い…」
そんな投資初心者の強い味方となるのが「ドルコスト平均法」です。これは、投資のタイミングに悩むことなく、感情に左右されずに資産形成を目指せる、非常に合理的な投資手法です。
この記事では、ドルコスト平均法の仕組みから、具体的なシミュレーションを用いたメリット・デメリット、そして効果的な活用法まで、専門家が分かりやすく解説します。(※そもそも投資と貯蓄の違いから知りたい方はこちらの記事もどうぞ)
ドルコスト平均法とは「定期的に・定額で」買い続ける投資法
ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品を、毎月1日になど決まったタイミングで、1万円ずつなど決まった金額を買い付けていくシンプルな投資手法です。「定額購入法」とも呼ばれます。
この手法の最大のポイントは、価格が高い時には少なく、価格が安い時には多く購入できる点にあります。
- 価格が高い時:同じ金額で買える量が少なくなる
- 価格が安い時:同じ金額で買える量が多くなる
これにより、長期間で見たときに購入単価が平準化され、「高値掴み」をしてしまうリスクを効果的に抑えることができます。この時間分散の考え方は、複利効果と並んで長期投資の重要な基本となります。
【シミュレーション】「定額購入」と「定量購入」の結果を比較
ドルコスト平均法(定額購入)の効果を理解するために、「毎月一定の”量”を買い続ける方法(定量購入)」と比較してみましょう。
どちらも総額100万円を投資した場合、10ヶ月後にどのような差が生まれるかを見てみます。
A. ドルコスト平均法(毎月10万円ずつ)
月 | 基準価額 (円/口) | 投資額 (円) | 購入口数 |
---|---|---|---|
1ヶ月目 | 1.20 | 100,000 | 83,333口 |
4ヶ月目 | 0.60 | 100,000 | 166,667口 |
7ヶ月目 | 1.20 | 100,000 | 83,333口 |
合計 | – | 1,000,000円 | 1,051,165口 |
※一部抜粋。価格が安い4ヶ月目に多くの口数を購入できています。
→ 平均購入単価:約0.951円/口
B. 定量購入(毎月10万口ずつ)
月 | 基準価額 (円/口) | 投資額 (円) | 購入口数 |
---|---|---|---|
1ヶ月目 | 1.20 | 120,000 | 100,000口 |
4ヶ月目 | 0.60 | 60,000 | 100,000口 |
7ヶ月目 | 1.20 | 120,000 | 100,000口 |
合計 | – | 1,000,000円 | 1,000,000口 |
※一部抜粋。毎月同じ口数を購入するため、価格が高い時の投資額は大きくなります。
→ 平均購入単価:1.000円/口
結果:ドルコスト平均法の圧勝!
最終的に基準価額が1.0円に戻ったと仮定すると、ドルコスト平均法で購入した資産は1,051,165円(+51,165円の利益)となり、定量購入の1,000,000円を上回ります。これは、価格が下落した際に多くの口数を仕込めたことで、平均購入単価を低く抑えられたからです。
ドルコスト平均法のメリット・デメリット
メリット
- 投資タイミングに悩む必要がない
- 高値掴みのリスクを軽減できる
- 感情を排して機械的に投資を続けられる
- 少額から始められる
デメリット
- 期待値も平準化され、大きなリターンは狙いにくい
- 常に価格が上昇し続ける相場では一括投資に劣後する
- 購入ごとに手数料がかかる商品は効率が落ちる
補足:ドルコスト平均法と「期待値」のトレードオフ
ドルコスト平均法はリスクを抑える万能な手法に見えますが、リターンに関しても知っておくべき重要な点があります。それが「期待値」の考え方です。
そもそも「期待値」とは?
期待値とは、「ある行動を何度も繰り返したときに、1回あたりに見込まれるリターンの平均値」のことです。
例えば、参加費100円のくじ引きを考えてみましょう。
- 60%の確率で「0円」が当たる
- 30%の確率で「100円」が当たる
- 10%の確率で「1,000円」が当たる
このくじの期待値は、(0円×60%)+(100円×30%)+(1000円×10%) = 130円 となります。1回引いただけでは0円かもしれませんが、何千回と引き続ければ、1回あたりの平均リターンは130円に近づいていきます。投資におけるリターンも、この期待値の考え方で捉えることができます。
ドルコスト平均法は、購入タイミングを分散することで、最安値で一括投資する「最高のリターン」を得る機会を手放す代わりに、最高値で一括投資してしまう「最悪のリスク」を回避する手法です。
つまり、リターンの振れ幅(リスク)を小さくする代わりに、リターンの期待値も市場の平均に近づいていくというトレードオフの関係にあるのです。一攫千金を狙うハイリターン戦略ではなく、平均的なリターンを堅実に狙う、再現性の高い「ミドルリスク・ミドルリターン」の戦略だと理解しておきましょう。
注意:万能な投資手法ではない
ドルコスト平均法は、価格が上下に変動する相場で最も効果を発揮します。ビットコインのように価格変動が極端に激しい商品や、短期で利益を狙うトレードには不向きです。あくまでも長期的な分散投資を前提とした「守りの投資」と理解しておくことが重要です。
【結論】ドルコスト平均法はどんな人・商品に向いている?
ドルコスト平均法は、特に以下のような方や金融商品と相性が良いと言えます。
- 投資初心者の方:専門的な知識がなくても始めやすい。
- 会社員など定収入がある方:毎月の給料からコツコツ積立投資ができる。
- 長期的な視点で資産を育てたい方:老後資金や教育資金の準備に最適。
具体的な商品としては、「つみたて投資枠(新NISA)」や「iDeCo」を活用した投資信託(特に全世界株やS&P500などのインデックスファンド)の積立が、この手法のメリットを最大限に活かせる王道と言えるでしょう。ただし、NISAやiDeCoだけでは将来の資産形成に不十分なケースもあり、他の資産と組み合わせる視点も大切です。
応用編:ドルコスト平均法の考え方を不動産投資に活かす
「時間分散」によって価格変動リスクを抑えるドルコスト平均法の考え方は、インフレに強い実物資産である不動産投資にも通じるものがあります。
不動産も市況によって価格は変動しますが、一度購入すれば、毎月安定した家賃収入を得ることができます。この毎月の家賃収入は、ドルコスト平均法における「毎月の積立金」のように、安定したキャッシュフローの基盤となります。
また、不動産を長期で保有することは、購入したタイミングが最高値であったとしても、その後の家賃収入の積み重ねと資産価値の安定により、短期的な価格変動リスクを吸収することに繋がります。
次のステップ:より安定した資産形成術を学ぶ
ドルコスト平均法で投資の基本を理解したら、次のステップとして、より安定的でインフレにも強い「不動産投資」について学んでみませんか?
初心者の方が何から始めれば良いか、その全手順をまとめた完全ガイドを用意しました。
まとめ
最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。
- ドルコスト平均法は「定期的・定額」で買い続けるシンプルな投資手法。
- 価格が安い時に多く、高い時に少なく買うことで購入単価を平準化できる。
- リスクを抑える代わりにリターンの期待値も平準化されるトレードオフの関係にある。
- 投資タイミングに悩む必要がなく、初心者に最適な「守りの投資」。
- NISAやiDeCoでの長期・積立・分散投資で真価を発揮する。
- 「時間分散」の考え方は、より安定的な不動産投資にも応用できる。
まずは少額からでも、ドルコスト平均法を活用して、将来のための資産形成を始めてみてはいかがでしょうか。

赤坂ファイナンシャル株式会社 代表取締役
元大手企業勤務、3,000人以上の相談実績と著書『地味な投資で2000万円』を持つお金のプロ。ファイナンシャルプランナー、クレジットカードアドバイザー®として、難しい金融の話を初心者向けにわかりやすく解説しています。
主な実績
著書:『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』
メディア出演:テレビ朝日「グッド!モーニング」、週刊SPA!、現代ビジネス、プレジデントオンライン等 多数
講演実績:一部上場企業、経営者団体など