【サラリーマン増税】給料は上がらないのになぜ手取りは減る?知らないと損する「ステルス増税」の正体

「給与所得控除の見直し」がサラリーマン家計に与える金額は? マネーリテラシー

「ここ数年、給料は少し上がったはずなのに、なぜか手取りが増えた実感がない…」
「物価はどんどん上がるのに、生活はむしろ苦しくなっている気がする…」

もしあなたがこのように感じているなら、その感覚は間違いではありません。

実は今、多くのサラリーマンが気づかぬうちに、国による「ステルス増税」の対象となっています。政府は、私たちの給与から静かに、しかし確実に、より多くのお金を徴収し始めているのです。

この記事では、なぜあなたの手取りが増えないのか、その元凶である**「サラリーマン増税」のカラクリ**を徹底的に解き明かし、この厳しい時代を生き抜くための具体的な対策をプロのFPが解説します。

犯人は「給与所得控除」の縮小!サラリーマンを狙い撃ちにする税制改正

「サラリーマン増税」の最大の要因は、2020年から施行された税制改正による「給与所得控除」の大幅な見直しです。

「給与所得控除って何?」という方のために簡単に説明すると、これは**「サラリーマンにだけ国が認めてくれた、みなし経費」**のようなものです。

自営業者であれば、仕事で使ったPC代や交通費などを「経費」として収入から差し引くことができます。しかし、サラリーマン一人ひとりの経費を計算するのは現実的ではありません。そこで国は、年収に応じて「これくらいは経費として認めてあげましょう」と、一定額を自動的に差し引いてくれるのです。それが「給与所得控除」です。

この控除額が大きければ大きいほど、税金計算の元となる「課税所得」が減り、結果的に納める税金(所得税・住民税)が安くなります。つまり、給与所得控除は、サラリーマンにとって**税負担を和らげるための最後の砦**とも言える重要な制度でした。

しかし、税制改正でこの砦が大きく切り崩されたのです。

  • 給与所得控除額が一律で10万円引き下げられた
  • 控除額の上限が220万円から195万円に引き下げられた

この結果、特に年収850万円を超えるサラリーマンは、実質的に大幅な増税となりました。

【シミュレーション】年収1000万円のあなたは、年間6万円以上損をしている

この改正がどれほどのインパクトを持つのか、具体的に見てみましょう。

モデルケース:年収1000万円の会社員の場合

※基礎控除と給与所得控除のみを考慮した簡易計算です。

  • 改正前:給与所得控除額 220万円 → 課税所得 742万円 → 所得税 約107万円
  • 改正後:給与所得控除額 195万円 → 課税所得 767万円 → 所得税 約113万円

年間の所得税増加額:約6万円

何もしなくても、以前より毎年6万円、月々5,000円も多く税金を納めることになったのです。これは、ランチ数回分、あるいは自己投資に使えるはずだった大切なお金です。

増税はまだ終わらない。次に狙われるのは「退職金」と「扶養控除」

「自分は年収850万円以下だから関係ない」と思った方も、決して安心はできません。

少子高齢化により社会保障費が増大し続ける日本では、財源確保のために今後もあらゆる手段で増税が進むことは確実です。一度「年収850万円」で前例が作られた以上、この基準が将来的に引き下げられ、中間層にも増税の波が及ぶ可能性は非常に高いと言えるでしょう。

実際に、政府内では次なる増税ターゲットとして、

  • 退職金への課税強化
  • 扶養控除のさらなる見直し

などが常に議論されています。

私たちは、「給料は上がらず、社会保険料は上がり、税金も増える」という三重苦の中で、ただ黙って資産が目減りしていくのを待つ「茹でガエル」になってはいけないのです。

厳しい表情で頭を抱えるビジネスパーソンのイメージ。増税や手取り減少の厳しい現実を象徴している。

【唯一の対抗策】国に頼らず、自分の手で資産を守る2つの道

この増税地獄から抜け出し、自分の資産と未来の生活を守るための道は、大きく分けて2つしかありません。

対策① 収入源を増やす

会社の給与という
一つの蛇口に依存しない

対策② 賢く節税する

国が認めた制度を活用し
手取りを最大化する

副業や投資で給与以外の収入源を確保し、収入の柱を複数持つこと。そして、iDeCoやNISA、あるいはその他の制度を徹底的に活用し、合法的に税金の支払いをコントロールすること。この両輪で対策を打つことが、これからの時代を生き抜く必須スキルとなります。

サラリーマンができる数少ない節税策「損益通算」とは

特に「②賢く節税する」という点で、サラリーマンが使える数少ない強力な武器が「損益通算」です。

損益通算とは?
不動産所得や事業所得などで赤字(損失)が出た場合に、その赤字分を給与所得など他の黒字の所得から差し引くことができる制度です。給与所得から赤字分を差し引くことで、課税対象となる所得全体が圧縮され、結果的に納めすぎた所得税が還付されたり、翌年の住民税が安くなったりします。

中でも、不動産経営によって生じる会計上の赤字(特に減価償却費など)を給与所得と損益通算する手法は、高所得のサラリーマンが実践する代表的な節税策の一つです。

まとめ:茹でガエルになる前に、今すぐ行動を

本記事のポイント

  • 給与所得控除の縮小など、サラリーマンを狙った「ステルス増税」で手取りは減り続けている。
  • この増税の流れは今後さらに加速し、中間層にも拡大する可能性が高い。
  • 会社からの給与を待つだけでは、資産は目減りしていく一方。
  • 対抗策は「収入源の複線化」「賢い節税」の2つしかない。

手取りが減っていく厳しい現実から、もう目を背けてはいけません。「いつかやろう」ではなく、今この瞬間から、自分の資産を守り、増やすための具体的な行動を起こすことが求められています。

まずは、その選択肢の一つとして、サラリーマンだからこそ活用できる「損益通算」の仕組みについて、さらに深く学んでみてはいかがでしょうか。

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