長期投資初心者のためのやさしいQ&A

 

   

Q1. 「長期投資」って、そもそも何のことですか?

   

     

A1. 「長期投資」というのは、将来のためにお金を育てる方法の一つです。例えば、お子さんの将来の学費や、自分たちの老後の生活費のために、焦らずじっくりと、まるで家庭菜園で野菜を育てるように時間をかけてお金を増やしていくイメージです。毎日スーパーで野菜の値段を気にするのではなく、大切に育てた野菜が美味しく実るのをゆっくり待つイメージです。すぐに結果を求めるのではなく、長い目で見てお金を育てていくのがポイントです。

   

 

 

   

Q2. 長い目で投資すると、どんないいことがあるんですか?

   

     

A2. 長い目で投資すると、嬉しいことがいくつかあります。一番大きな魅力は、「複利(ふくり)」という魔法のような効果が期待できることです。これは、投資で得た利益(お小遣いが増えた分)を、また次のお小遣い稼ぎに使うことで、雪だるまが坂道を転がり落ちるように、お金がお金を生んでどんどん大きくなっていくイメージです。また、毎日株価の動きにハラハラドキドキしなくて済むのも大きなメリットです。長い目で見れば、途中の小さなデコボコ道もあまり気にならなくなることが多いのです。だから、忙しい方でも、手間をかけずに続けやすいのです。

   

 

 

   

Q3. 長期投資で気をつけることや、心配なことはありますか?

   

     

A3. もちろん、注意しておきたい点もいくつかあります。まず、投資したお金は、すぐに現金として引き出せない場合があることです。急な出費でお金が必要になっても、すぐに使えないことがあるので、そこは覚えておく必要があります。また、銀行の預金とは違って、「絶対に増えますよ」という保証はありません。大切に育てていたお野菜が、天候不順でうまく育たないことがあるように、投資したものの価値が下がってしまう可能性もあります。それから、世の中の物の値段がどんどん上がってしまう「インフレ」という状態になると、せっかく増やしたお金の価値が実質的に減ってしまうこともあるので、少し頭に入れておくと良いでしょう。

   

 

 

   

Q4. 「長期」って、だいたいどれくらいの期間を考えればいいの?

   

     

A4. はっきりとした決まりはありませんが、だいたい5年以上をイメージすると良いでしょう。できれば、10年、20年と、期間が長ければ長いほど、お金が育つ時間をたっぷり取れます。お子さんの進学のタイミングや、ご自身の老後の準備など、「いつ頃のために、このお金を準備したいかな?」と、ご自身の暮らしの計画に合わせて考えると分かりやすいです。

   

 

 

   

Q5. ちょっとずつでも、長期投資って始められるものですか?

   

     

A5. はい、もちろんです。毎月のお小遣いの一部や、日々の生活費を少し節約して浮いた分からでも十分に始められます。例えば、毎月貯金をするような感覚で、100円や1,000円といった本当に少ない金額からスタートできる投資の方法もたくさんあります。「これくらいなら続けられそう」という無理のない金額から始めるのが、長く続けるための大切なコツです。

   

 

 

   

Q6. 初心者でも分かりやすい投資先って、どんなものがありますか?

   

     

A6. 初めての方には、お弁当でいう「幕の内弁当」のようなものがおすすめです。これは「投資信託(とうししんたく)」や「ETF(イーティーエフ)」と呼ばれる商品で、いろんな種類のおかずが少しずつバランス良く入っているのです。自分で一つ一つのおかずを選ぶのは大変ですが、これなら専門のシェフ(運用のプロ)が、栄養バランスを考えて美味しいお弁当を作ってくれているようなものなので、安心して始めやすいです。

   

 

 

   

Q7. 「NISA(ニーサ)」や「iDeCo(イデコ)」ってよく聞くけど、使った方がいいの?

   

     

A7. はい、ぜひ使っていただきたい、とてもお得な制度です。「NISA(ニーサ)」や「iDeCo(イデコ)」という名前、聞いたことがあるかもしれません。これらは国が用意してくれた特別な仕組みで、これらを使って投資をすると、投資で得た利益(儲け)にかかる税金がタダになったり、大幅に安くなったりするのです。せっかく頑張って増やした大切なお金ですから、税金で引かれてしまう分が少なくなるのはとても嬉しいものです。家計の節約術の一つだと考えて、上手に活用するのがおすすめです。

   

 

 

   

Q8. 「積立投資」って何ですか?「ドルコスト平均法」って難しい言葉も聞きますが…

   

     

A8. 「積立投資」というのは、毎月決まった日に、決まった金額で、コツコツと同じものを買い続けていく投資の方法です。例えば、毎月1日に5,000円分だけ、お気に入りのお米を買い続けるようなイメージです。お米の値段が高い月は少ししか買えませんが、安い月はたくさん買えます。これをずっと続けていくと、長い目で見ると、平均してちょうどいい値段でお米を買えるようになるのです。この買い方のことを、ちょっと難しい言葉で「ドルコスト平均法」と言います。値段が高いか安いかタイミングを悩まなくてもいいので、気持ちが楽な買い方です。

   

 

 

   

Q9. 「分散投資」っていうのも大事だって聞きましたが、どうしてですか?

   

     

A9. 「大事な卵は、全部同じカゴに入れないでね」というお話を聞いたことがありますか。もしそのカゴをうっかり落としてしまったら、中の卵が全部割れてしまって大変です。投資もそれと同じで、一つのお金儲けの方法だけに集中するのではなく、いくつかの種類に分けておくことがとても大切なのです。これを「分散投資」と言います。例えば、お料理でも、お肉、お魚、野菜をバランスよく食べるように、お金も日本の会社、外国の会社、不動産など、いろんな場所に分けて置いておくと、どれか一つがうまくいかなくても、他のものでカバーできる可能性が高まるので、より安心してお金を育てていくことができます。

   

 

 

   

Q10. 投資の勉強って、何から手をつければいいか分かりません…

   

     

A10. まずは、分かりやすい言葉で書かれた初心者向けのマネー雑誌や、投資に関する入門書をパラパラとめくってみるのがおすすめです。イラストやマンガがたくさん使われているものだと、楽しく読めるかもしれません。最近は、YouTubeなどの動画サイトでも、投資の専門家が初心者向けに分かりやすく解説しているチャンネルがたくさんあります。また、信頼できるお金の専門家(ファイナンシャルプランナー、略してFPさん)に、家計の相談をするような気軽さで、基本的なことを聞いてみるのも良いでしょう。そして何より、毎月数百円でもいいので、実際に少額から始めてみるのが一番の勉強になります。「習うより慣れろ」という言葉もあります。

   

 

 

   

Q11. 投資を始めるには「証券会社」を選ぶって聞いたけど、どこがいいの?

   

     

A11. お買い物をするときに、お店によって値段や品揃え、店員さんの親切さが違うように、投資を始めるための窓口となる「証券会社」も、実はたくさんあって、それぞれ特徴があるのです。選ぶときのポイントとしては、手数料が安いかどうか、自分が買いたいと思っている商品の種類が豊富かどうか、「NISA」などの便利な制度が使いやすいか、パソコンやスマホでの操作が簡単かどうか、困ったときに電話やチャットで親切に教えてくれるか、などがあります。最近は、店舗を持たないインターネット専門の証券会社が多く、手数料も比較的安くて、初心者向けのサポートも充実しているところが多いです。いくつか見比べてみて、ご自身に合いそうなところを選ぶと良いでしょう。

   

 

 

   

Q12. 投資をするときって、手数料はどれくらいかかるものなの?

   

     

A12. 投資をするときには、いくつか手数料がかかることがあります。主なものとしては、商品を買うときにかかる手数料、その商品を持っている間ずっとかかる管理費のような手数料(これを「信託報酬(しんたくほうしゅう)」と言います)、そして商品を売るときにかかる手数料などです。特に、持っている間ずっとかかる「信託報酬」は、お家の維持費のようにジワジワと影響してくるので、家計に優しいものを選ぶのがポイントです。できるだけ低いものを選ぶように心がけましょう。最近は、商品を買うときの手数料が無料(「ノーロード」と呼ばれます)のものもたくさんありますから、そういったものを選ぶのも賢い方法です。

   

 

 

   

Q13. 「投資信託」が良いって聞いたけど、たくさんあって選べません。何かコツは?

   

     

A13. 「投資信託」は、まさにお弁当選びに似ています。まず、どんな種類のおかず(投資対象)が入っているかを確認しましょう。次に、そのお弁当を作っているシェフの腕前(運用方針)。そして、お弁当のお値段(コスト:手数料が安いか)。それから、これまでにどれくらい人気があったか、つまり多くの人に選ばれてきたか(過去の実績や純資産総額)。初めての方なら、日経平均株価のような有名な経済ニュースに出てくる数字と同じような値動きを目指す、シンプルで分かりやすいお弁当(これを「インデックス型」と言います)から試してみるのが、中身も分かりやすくておすすめです。

   

 

 

   

Q14. 「ETF」っていうのもあるって聞いたけど、「投資信託」と何が違うの?

   

     

A14. 「ETF(イーティーエフ)」も、先ほどお話しした「投資信託」の仲間で、幕の内弁当のようなものです。大きな違いは、普通の投資信託が1日に1回だけお弁当の値段が決まるのに対して、「ETF」はスーパーで売っているお野菜のように、お店が開いている間(株式市場が開いている間)は値段がコロコロ変わって、その場で「買います!」「売ります!」ができる点です。イメージとしては、普通の投資信託が予約注文のお弁当だとしたら、ETFは店頭で見て買えるお弁当、という感じです。また、一般的に手数料が比較的お安いものが多いのも特徴です。少しだけアクティブにお金の動きを見ながら取引したい、という方に向いているかもしれません。

   

 

 

   

Q15. もし投資したものの値段が下がっちゃったら、どうすればいいの?

   

     

A15. お野菜の値段が、天候によって一時的に安くなることがあっても、すぐに「もう野菜作りはやめた!」とはなりません。長期投資もそれと似ていて、投資したものの値段が一時的に下がったからといって、すぐに慌てて売ってしまうのはもったいないことも多いのです。まずは深呼吸して落ち着いて、なぜ値段が下がったのか、少し様子を見てみましょう。もし毎月コツコツと積み立て投資をしているなら、むしろ「いつもより安く買えるラッキーな時期!」と前向きに捉えることもできます。ただし、本当にその投資先がこれからも大丈夫そうか、自分の家計は無理をしていないか、などは時々見直すことが大切です。

   

 

 

   

Q16. 投資で利益が出たら、税金って払わないといけないの?

   

     

A16. はい、基本的には、投資で儲かったお金(利益)には税金がかかります。パートで働いて得たお給料に税金がかかるのと少し似ています。だいたい儲けの2割くらいが税金として引かれると考えておくと良いでしょう。でも、思い出してください。先ほどお話しした「NISA(ニーサ)」という特別な制度を使うと、この税金がなんとタダになるのです!これはとてもお得です。証券会社で口座を作るときに、「特定口座(源泉徴収あり)」という種類を選ぶと、面倒な税金の計算や支払いを証券会社が代わりにやってくれるので、確定申告などの手間が省けてとても簡単です。

   

 

 

   

Q17. 「複利(ふくり)効果」って、よく聞くけど、どんなもの?

   

     

A17. 「複利(ふくり)」は、お金の魔法のようなもので、時間を味方につけることで効果が大きくなります。例えば、銀行にお金を預けて利息がついたとします。そのもらった利息を、元々預けていたお金にプラスして、また一緒に預けると、次は「元のお金+前の利息」の両方に新しい利息がつくのです。これを繰り返していくと、まるで雪だるまが坂道を転がり落ちるように、どんどんお金が大きくなっていくイメージです。期間が長ければ長いほど、この魔法の力は強くなります。だから、焦らずじっくり取り組む長期投資と、複利はとても相性が良いのです。

   

 

 

   

Q18. 「リスク許容度」って何?自分はどれくらいか分からない…

   

     

A18. 「リスク許容度」というのは、「もし、投資したお金が少し減っちゃったとしても、どれくらいまでなら心の準備ができているかな?」「どれくらいなら生活に影響なく、落ち着いていられるかな?」という、ご自身の心の余裕度合いのことです。例えば、遊園地のジェットコースターがすごく好きな人もいれば、ちょっと高いところも苦手…という人もいます。それと同じで、お金のことでどれくらいドキドキしても平気かは、本当に人それぞれなのです。ご家族の状況や、毎月の収入、貯金の額、これまでに投資をしたことがあるかないか、といったことによって変わってきます。証券会社のホームページなどで、いくつかの簡単な質問に答えると、自分のタイプが分かるような診断ツールがあったりします。無理のない範囲で、安心して続けられることが何よりも大切です。

   

 

 

   

Q19. 「ポートフォリオを組む」って聞くけど、どういうこと?

   

     

A19. 「ポートフォリオ」とは、難しく聞こえるかもしれませんが、要はあなたが持っている投資商品の「詰め合わせセット」のことです。先ほどの「分散投資」の話と似ていますが、もっと具体的に、どんな商品をどれくらいの割合で持つか、という計画を立てるイメージです。例えば、お弁当箱の中に、主食のご飯(比較的安定しているもの)だけでなく、成長が期待できるお肉料理、ちょっと違うタイプのお魚料理、そして全体のバランスを整えるお野菜などを、自分の好みや健康状態(つまり、どれくらいリスクを取れるかや、どんな目標でお金を増やしたいか)に合わせて上手に詰めるような感じです。そうすることで、どれか一つのおかずがイマイチでも、他のおかずで補えるような、バランスの良い、そして自分に合った資産の組み合わせを目指すのが「ポートフォリオを組む」ということです。

   

 

 

   

Q20. よーし、投資を始めてみよう!その前に何か準備しておくことはある?

   

     

A20. 素晴らしいです。投資を始める前に、いくつか準備しておくと安心なことがあります。まず一番大切なのは、毎日の生活に困らないように、もしものためのお金(これを「生活防衛資金」と呼んだりします)を、投資に回すお金とは別にちゃんと用意しておくことです。急な病気やケガ、家電の故障などで急な出費があっても、投資しているお金に手を付けなくて済むように、だいたい半年から1年分くらいの生活費は、いつでも引き出せる銀行預金などで持っておくと安心です。次に、「何のために、いつまでに、いくらくらい貯めたいか」という具体的な目標を考えると、投資を続けるやる気もアップします。そして、少しずつでいいので、投資の基本的な言葉や仕組みを、このQ&Aのようなもので知っておくと、より安心して始められます。最後に、実際に投資を始めるための窓口となる証券会社の口座を開きましょう。その際には、税金がお得になる「NISA口座」も一緒に作っておくと、とても便利です。

   

 

Q: まさとFPに質問する方法を教えてください

A: ご質問は直接ラインメッセージで送信して頂ければ、まさとFPが確認できるようになっていますので、「♯質問」という件名でご質問内容をメッセージ頂ければと思います。またご質問はマガジンで回答することもありますが、全てのご質問に回答できる訳ではありませんのでご承知おき頂ければ幸いです。