サブリース契約の“時限爆弾”とは?「家賃保証30年」が大嘘である5つの免責条項

不動産投資

「30年間、空室があっても家賃を保証します」
「面倒な管理業務は一切不要です」

不動産投資の営業で、こんな甘い言葉を鵜呑みにしてはいませんか?

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの「まさとFP」です。私は金融系YouTubeで登録者6万人超、書籍出版、大手メディアでの記事執筆などを行う不動産と資産形成のプロとして、数多くのご相談を受けてきました。

断言しますが、安易なサブリース契約は、あなたの資産を食いつぶす「時限爆弾」です。その“保証”、わずか数年で反故にされ、気づけば赤字経営に転落する危険性を孕んでいます。かつて社会問題となった「かぼちゃの馬車事件」も、このサブリース契約の罠が引き金となりました。

この記事では、なぜ「家賃保証30年」が大嘘なのか、契約書に隠された“時限爆弾の導火線”である5つの免責条項、そしてプロが見抜く危険な営業トークまで、その全てを徹底的に解説します。

契約書に印鑑を押す前に、あなたの資産を守るために、必ず最後までお読みください。

そもそもサブリース契約とは?仕組みを図解で解説

まず、サブリース契約(マスターリース契約とも言います)の仕組みを正しく理解しましょう。これは、不動産会社(サブリース会社)がオーナーから物件を丸ごと借り上げ、それを入居者に転貸(又貸し)する仕組みです。

サブリース契約の仕組みを図解で解説(オーナー・サブリース会社・入居者の関係)

サブリース(表向き)のメリット

  • 空室・滞納リスクの回避:入居者の有無にかかわらず、一定の賃料(保証賃料)が支払われる。
  • 管理業務からの解放:入居者募集、クレーム対応、退去手続きなど、すべての管理業務を委託できる。
  • 確定申告の簡略化:入金元がサブリース会社のみになるため、経費計算がシンプルになる。

サブリース(隠れた)デメリット

  • 収益性の低下:保証料として家賃の10%~20%が差し引かれ、通常の管理委託(相場5%)より手残りが少ない。
  • 入居者を選べない:どんな人が入居しているかオーナーは関知できない。
  • 契約内容の不透明性:そして、これから解説する「家賃が保証されない」という最大の罠がある。

「家賃保証30年」が“大嘘”である法的なカラクリ

なぜ「30年保証」を謳っているのに、家賃が保証されない事態が起こるのでしょうか?その答えは、サブリース会社が「管理会社」ではなく、法律上、オーナーの物件を借りる「借主(店子)」であるという点にあります。

【最重要】「借地借家法」がサブリース会社を守っている

日本の「借地借家法」という法律は、弱い立場である「借主」を強く守るために作られています。サブリース会社はこの法律を盾に、たとえ契約書に「30年保証」と書いてあっても、家賃の減額を請求する権利(賃料減額請求権)が法的に認められているのです。

つまり、「30年間家賃を保証します」というセールストークとは裏腹に、サブリース会社は「やっぱり経営が厳しいので、来月から家賃を下げてください」と“合法的に”言えるのです。

実際、ほとんどの契約書には「2年ごと」など、定期的に賃料を見直す条項が記載されています。そして、その見直しで賃料が上がることは、まず期待できません。

【契約書を確認】あなたの資産を奪う「5つの免責条項」

では、具体的に契約書のどこに「時限爆弾」が仕掛けられているのでしょうか。以下の5つの条項が、あなたにとって不利益な内容になっていないか、一言一句確認してください。

免責条項①:賃料の改定(減額)に関する条項

最も重要な条項です。「経済情勢の変動、公租公課の増減、近隣相場の変動等により、甲乙(オーナーと業者)協議の上、本賃料を改定することができる」といった一文が必ず入っています。

FPが斬る!「協議の上」のワナ

「協議の上」と聞くと対等に聞こえますが、実態は違います。前述の通り、業者には法的な「減額請求権」があります。オーナーが協議で減額を拒否しても、業者は調停や裁判に持ち込むことができ、相場が下がっていれば、ほぼ確実に業者が勝ちます。これは「協議」ではなく、事実上の「減額通告条項」です。

免責条項②:契約の解除(中途解約)に関する条項

契約の「出口」がどうなっているかを確認します。ここに、驚くほど不平等な条項が隠れています。

オーナー側からの解約

「正当な事由(オーナーがそこに住む必要がある等)がなければ認めない」
または
「高額な違約金(家賃の6ヶ月~1年分)を支払わなければ解約不可」

サブリース会社側からの解約

「3ヶ月~6ヶ月前の予告で、いつでも自由に解約できる」

これは、業者は儲からなくなったら(築古で空室が増えたら)いつでも逃げられるが、オーナーは赤字でも解約できない、という「奴隷契約」に近い内容です。

免責条項③:修繕費用の負担に関する条項

「管理業務は一切不要」も嘘です。契約書には「建物の維持管理に必要な修繕」や「設備の交換費用(エアコン、給湯器など)」は、すべて「オーナー負担」と明記されているのが一般的です。

サブリース会社は家賃収入という“果実”だけを得て、コストのかかる修繕(十数年ごとの大規模修繕含む)はオーナーに押し付ける構造になっていないか、厳重な確認が必要です。

免責条項④:免責期間(フリーレント)に関する条項

「空室保証」にも抜け道があります。入居者が退去した後、次の入居者が決まるまでの「1ヶ月~3ヶ月間」など、家賃保証の支払い義務を免除される期間(免責期間)が設定されていないか確認します。

この条項があると、結局はオーナーが短期的な空室リスクを負うことになり、「空室保証」とは名ばかりの状態になります。

免責条項⑤:敷金・礼金・更新料の帰属に関する条項

入居者が支払う敷金・礼金・更新料といった一時金は、重要な収入源です。しかし、サブリース契約では、これらがすべてサブリース会社の収益となっているケースがほとんどです。

オーナーには保証賃料しか入金されず、入居者から得られるボーナス的な収入はすべて業者が持っていく、という条項になっていないか確認しましょう。

サブリースという「時限爆弾」が爆発する2つのタイミング

「契約書は不利かもしれないが、新築だし数年は大丈夫だろう」そう考えるのも危険です。時限爆弾は、あなたが忘れた頃に爆発します。

タイミング①:新築プレミアムが消える「築10年目の崖」

新築から5~10年は、家賃も高く、入居者も決まりやすいため、サブリース会社も儲かります。問題は、新築プレミアムが消え、家賃相場が下落し始める「築10年目」頃です。

ここで業者は、免責条項①(減額請求)を行使し、「このままだと赤字なので、家賃を15%下げます」と平然と通告してきます。オーナーのローン返済額は変わりませんから、ここから一気に収支が悪化します。

タイミング②:「大規模修繕」と「家賃減額」のダブルパンチ

築12~15年目になると、外壁塗装や屋上防水などの「大規模修繕」が必要になります。免責条項③により、この数百万~数千万円の費用はもちろんオーナー負担です。

さらに業者は、「物件が古くなったので、さらなる家賃減額が必要です」と追い打ちをかけてきます。収入が減る一方で、巨額の支出が発生し、赤字経営に転落。売却しようにも、不利なサブリース契約が付いた物件は買い叩かれ、ローン残債以下でしか売れない…これが「時限爆弾」の正体です。

【関連知識】人口減少と不動産投資

そもそも、日本の人口が減少する中で、家賃は将来どうなるのでしょうか?エリア選定の視点も含め、以下の記事で詳しく解説しています。

→ 人口減少時代の不動産投資はオワコン?データで見る「勝てるエリア」選定法

プロが即決で見抜く!危険なサブリース営業トーク3選

契約書だけでなく、営業担当者の「トーク」にも危険なサインは現れます。私がFPとして警告する、絶対に信用してはいけない営業トークをご紹介します。

トーク①「これは節税対策になりますから」

不動産投資の節税効果は、新築時の数年間に限定されることがほとんどです。特にサブリースは収益性が低いため、赤字を給与所得と損益通算する「節税」を勧めてきます。しかし、これは単なる「赤字の垂れ流し」です。節税目的で始める投資は100%失敗します。

→ 【徹底解剖】不動産投資の「節税カラクリ」は本当?

トーク②「法律(借地借家法)の話は、まあ形式的なものなので」

オーナーの不安(減額請求)に対し、法律や契約書の重要な部分を「形式的なもの」「決まり文句なので大丈夫」と曖昧にする担当者は最悪です。不利な条項を意図的に隠そうとしています。

トーク③「弊社は大手だから安心です。他社とは違います」

会社の規模は関係ありません。社会問題になった「かぼちゃの馬車」も、そのサブリース元は一部上場企業でした。大企業であろうと、自社の利益を最大化するために、不利な条項を行使することに何の躊躇もありません。

もし契約してしまったら?サブリースに頼らない本当の安定経営とは

「すでに不利な契約を結んでしまった…」という方は、まず契約書を持参の上、弁護士などの専門家に解約の可否や違約金について相談してください。前述の通り、オーナーからの解約は簡単ではありません。

そして、これから投資を始める方は、サブリースを「何もしなくても儲かる魔法」ではなく、「収益性を犠牲にして、手間を省くための有料サービス」と正しく認識してください。

収益性より「手間削減」を最優先したい、物件が遠隔地で自主管理が不可能、といった特殊な事情がない限り、私はサブリース契約をお勧めしません。

本日の結論

本当の安定経営は、「家賃保証」という名の時限爆弾に頼ることではありません。それは、オーナー自身が「知識武装」すること、そしてサブリース会社ではなく、オーナーと同じ方向を向いてくれる信頼できる「賃貸管理会社」をパートナーに選ぶことから始まります。

良い管理会社は、5%程度の管理料で、空室対策や入居者対応をプロとして実行してくれます。これが、収益を最大化し、長期的に資産を築くための王道です。

信頼できるパートナー(管理会社)の選び方

安定した不動産経営のためには、信頼できるパートナー選びが不可欠です。悪徳業者と優良企業の見分け方を、以下の記事で徹底解説しています。

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赤坂ファイナンシャル株式会社 代表取締役
元大手企業勤務、3,000人以上の相談実績と著書『地味な投資で2000万円』を持つお金のプロ。ファイナンシャルプランナー、クレジットカードアドバイザー®として、難しい金融の話を初心者向けにわかりやすく解説しています。
主な実績

著書:『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』
メディア出演:テレビ朝日「グッド!モーニング」、週刊SPA!、現代ビジネス、プレジデントオンライン等 多数
講演実績:一部上場企業、経営者団体など

この記事の監修者:まさとFPの全プロフィールと実績はこちら