「Aさん、例の物件の入居者ですが、3ヶ月分の家賃を滞納したまま連絡が取れなくなりました…」
1本の電話から、私のクライアントであるAさんの地獄は始まりました。なぜ、あんなに魅力的に見えた物件が、彼の資産を食い潰す“モンスター”に変わってしまったのか?
こんにちは、FPのまさとです。この手記は、過去のAさんと同じ過ちをあなたが犯さないために書き残すものです。この記事では、Aさんの失敗を徹底解剖し、あなたが同じ轍を踏まないための『プロの思考プロセス』を全て公開します。
【物語】天国から地獄へ。あるサラリーマンの失敗談
登場人物:Aさん
Aさんは当時38歳、年収700万円の会社員。妻と5歳の子どもの3人家族で、将来のためにと資産形成に関心を持ち始めました。
甘い誘惑との出会い
そんなAさんが、ある不動産投資セミナーで出会ったのが今回の物件です。「都心好立地、利回り10%超え、安定のオーナーチェンジ物件です。すぐに家賃収入が入りますから、初心者の方には最適ですよ」という言葉に、Aさんの心は躍りました。
見逃した“違和感”
今思えば、危険なサインはいくつもありました。仲介業者は「他にも検討者がいるので、早く決めた方がいい」と契約を不自然に急かしました。レントロール(家賃台帳)の数字は魅力的でしたが、周辺相場より少し高すぎる気もしました。しかし、「利回り10%」という数字に目が眩んだAさんは、その小さな違和感を無視してしまったのです。
契約、そして悪夢へ…
契約はトントン拍子に進み、Aさんは晴れて不動産オーナーになりました。しかし、購入からわずか半年後、冒頭の電話が鳴ります。家賃滞納、設備の故障、他の入居者からの騒音クレーム…。次々と問題が発覚し、安定収入のはずが、毎月赤字を垂れ流すだけの「負動産」と化してしまったのです。
【専門家の分析】A氏はなぜ失敗したのか?3つの致命的な判断ミス
Aさんの失敗は運が悪かったからではありません。そこには、初心者が陥りがちな、しかし非常に危険な3つの「判断ミス」がありました。
ミス①:表面利回りの罠
Aさんは「利回り10%」という数字だけを信じてしまいました。しかし、その家賃が周辺相場より不当に高く設定されていたため、現在の入居者が退去すれば、利回りが急落するのは目に見えていました。これは、オーナーチェンジ物件の危険なサインを解説した記事で詳しくお伝えした、典型的な失敗パターンです。
ミス②:情報の非対称性の軽視
売主や仲介業者は情報を多く持っていますが、買主であるAさんは情報弱者でした。これは、別の記事で詳しく解説している「入居者の情報」や「修繕積立金の状況」といった危険なサインを見落としたことによる、非常に重要なポイントです。
ミス③:心理的バイアス
「早くしないと他に取られる」という言葉(専門用語で「希少性の原理」と言います)に煽られ、冷静な判断ができなくなりました。これはプロでも陥りがちな罠であり、焦って契約することは、売主の仕掛けた罠に自らハマりに行くようなものです。
【プロの思考法】私ならこう防ぐ!失敗回避の3ステップ・デューデリジェンス
では、私たちプロは契約前に何をしているのか?もしAさんが契約前に私に相談していたら、私たちは以下の『3段階デューデリジェンス(詳細調査)』を必ず実行していました。
ステップ1:机上調査フェーズ
まず、以下の書類を徹底的に精査し、数字の裏に隠れたリスクを洗い出します。
- レントロール:家賃の妥当性、入居期間、滞納履歴を確認。
- 長期修繕計画書・議事録:修繕積立金の状況、管理組合の運営実態を把握。
- 賃貸借契約書:入居者と結ばれている契約内容に、不利な特約がないか確認。
- 登記簿謄本:権利関係に問題がないかを確認。
ステップ2:現地調査フェーズ
書類だけではわからない、物件のリアルな状態を自分の目で確認します。
- 共用部のチェック:清掃状況、掲示板の内容、ゴミ置き場から管理レベルと住民の質を見抜く。
- 建物の状態:外壁のヒビ割れ、屋上の防水状態など、劣化状況を確認。
- 周辺環境の調査:競合物件の状況、スーパーや駅からの距離など、将来の賃貸需要を予測。
ステップ3:関係者ヒアリングフェーズ
情報を持つ関係者に、的確な質問を投げかけ、隠れた情報を引き出します。
- 管理会社へ:「この物件で過去にトラブルはありませんでしたか?」と、入居者の質や設備の状況を直接ヒアリング。
- 仲介業者へ:「売主様がこの物件を売却される理由は何ですか?」と、売却の背景を探る。
まとめ:失敗は避けられる。正しい知識があなたの資産を守る
Aさんの失敗談は、決して特別な話ではありません。しかし、ここまで解説した正しいプロセスを踏めば、こうした失敗は100%避けられます。
Aさんも、その後私たちと二人三脚で物件の立て直しに奔走し、現在は問題の入居者に退去いただき、健全なキャッシュフローを生む優良物件として運用できています。重要なのは、失敗から学び、次に活かすことです。
不動産投資は情報戦であり、信頼できるパートナーの存在があなたの成功を大きく左右します。
あなたの状況に合わせたアドバイスを、専門家から直接受けませんか?
「自分にはどんな物件が合っている?」「まずは何から始めるべき?」
そんなあなたの疑問にプロのFPが直接お答えするほか、不動産投資で成功するための「勝ち方戦略」や、表には出ない限定情報も定期的に受け取れます。
今、下のボタンから公式LINEに登録するだけで、
通常15,000円の個別相談が初回無料に!

赤坂ファイナンシャル株式会社 代表取締役
元大手企業勤務、3,000人以上の相談実績と著書『地味な投資で2000万円』を持つお金のプロ。ファイナンシャルプランナー、クレジットカードアドバイザー®として、難しい金融の話を初心者向けにわかりやすく解説しています。
主な実績
著書:『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』
メディア出演:テレビ朝日「グッド!モーニング」、週刊SPA!、現代ビジネス、プレジデントオンライン等 多数
講演実績:一部上場企業、経営者団体など