「不動産投資は節税になるからお得ですよ」
不動産会社の営業マンから、こんな言葉を聞いたことはありませんか?しかし、あなたは心のどこかでこう感じているはずです。
「そんなうまい話、本当にあるのか?」
「何か特別な”カラクリ”があるんじゃないのか?」
こんにちは、3000人以上の資産相談に乗ってきたFPのまさとです。その直感は、半分正しく、半分間違っています。
この記事では、なぜ「節税できる」と言われるのか、そのカラクリの正体を暴き、年収700万円の会社員をモデルに、具体的な数字でいくら得をするのかを徹底的にシミュレーションします。さらに、多くの人が語らない「節税の罠」と、本当に目指すべきゴールまでを、専門家の視点から解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたは営業トークに騙されることなく、ご自身が本当に取るべき選択を、自信を持って判断できるようになるでしょう。
第1章:なぜ節税できるのか?“カラクリ”の正体
早速、結論からお話しします。「不動産投資で節税できる」というカラクリの正体。それは、「減価償却費(げんかしょうきゃくひ)」を使って、帳簿上の「赤字」を作り出すことにあります。
以下の3ステップで、税金が還付される仕組みを見ていきましょう。
【STEP1】不動産所得を計算する
家賃収入 - (ローン金利 + 諸経費 + 減価償却費) = 不動産所得
※ここで減価償却費を使って、帳簿上(計算上)の所得を赤字にします。
【STEP2】損益通算(そんえきつうさん)する
給与所得 - 不動産所得の赤字額 = その年の課税所得
※給与所得から、作り出した赤字を差し引くことで、課税対象となる所得全体を圧縮します。
【STEP3】税金が還付される
課税所得が減る → 所得税・住民税が安くなる → 払いすぎた分が手元に戻る
※これが「節税」の正体です。
一番のポイントは「減価償却費」です。これは、建物の価値が年々下がっていくのを費用として計上する会計上のルールで、実際にはあなたの財布から出ていかないお金なのに、経費として計上できる「魔法の費用」だとイメージしてください。
第2章:【FPが徹底試算】年収700万円サラリーマンの節税シミュレーション
では、実際にどのくらいの節税効果があるのか。具体的なモデルケースで見ていきましょう。
シミュレーションの前提条件
年収 | 700万円(課税所得450万円 / 所得税・住民税率 約30%) |
---|---|
購入物件 | 都心中古ワンルームマンション(RC造 / 築20年) |
物件価格 | 2,500万円(建物価格 1,500万円 / 土地価格 1,000万円) |
ローン条件 | 借入 2,500万円 / 金利 2.0% / 期間 35年 |
年間家賃収入 | 100万円 |
年間経費 | 30万円(管理費、修繕積立金など。ローン金利は別途計算) |
節税額の計算ステップ
- 減価償却費を計算する
RC造(耐用年数47年)の中古物件(築20年)の場合、減価償却期間は29年です。
建物価格1,500万円 ÷ 29年 ≒ 年間 約51万円
- 不動産所得を計算する
初年度のローン金利を約50万円と仮定します。
家賃100万 - (金利50万 + 経費30万 + 減価償却51万) = ▲31万円の赤字
- 税金の還付額を計算する
作り出した赤字額に、あなたの税率を掛け合わせます。
赤字額31万円 × 税率30% = 年間 約9.3万円
シミュレーション結論
このケースでは、年間で約9.3万円の税金が還付される計算になります。これが、不動産投資における「節税効果」の具体的な数字です。
ただし、これはあくまで帳簿上の話。実際の現金の出入り(キャッシュフロー)は、ローンの元本返済があるため、必ずしもプラスになるとは限らない点に注意が必要です。
第3章:【ここからが本題】「節税」という甘い言葉に隠された3つの罠
年間約9.3万円。これが大きいと見るか、小さいと見るか…。しかし、私が本当に伝えたいのはここからです。この「節税」という言葉を入り口に不動産投資を始めると、ほぼ確実に痛い目を見ます。その3つの罠を解説します。
罠1:節税目的で「儲からない物件」を買ってしまう罠
最も多い失敗です。年間9万円の節税効果に目がくらみ、資産価値が毎年30万円下落するような物件を買ってしまっては、全く意味がありません。「節税」はあくまで「おまけ」であり、投資の目的はあくまで「資産価値の維持・向上」です。この大原則を見失うことが、最大の失敗に繋がります。
罠2:節税効果の”寿命”と、その後の「増税」の罠
減価償却費を計上できる期間には限りがあります。このシミュレーションでは29年後、減価償却が終わると、帳簿上の経費がガクンと減り、不動産所得が黒字化します。つまり、今度は毎年「不動産所得税」を支払うフェーズが来るのです。特に「新築」物件は減価償却費が少なく、節税効果が薄い上に、この罠に早く陥りやすいと言えます。
罠3:本当の税金は「出口(売却時)」にやってくる罠
物件を売却して利益が出れば、当然「譲渡所得税」がかかります。ここで注意したいのは、減価償却した分だけ、会計上の物件の価値(簿価)は下がっているという事実です。そのため、購入時と同じ価格で売れたとしても、会計上は大きな利益が出たことになり、想像以上に高い税金がかかるケースがあるのです。「節税」とは、ある意味で「税金の支払いを将来に繰り延べているだけ」という側面も忘れてはいけません。
第4章:【FPの結論】本当の「勝ち」とは何か?節税より「資産性」を重視せよ
ここまで読んで、賢明なあなたならもうお分かりでしょう。
不動産投資における「節税」は、あくまで副次的な効果に過ぎません。
「節税」を第一目的にした不動産投資は、ほぼ100%失敗します。
私が3000人以上の相談に乗ってきてたどり着いた結論。それは、本当に重視すべきは目先の節税額ではなく、5年後、10年後も安定して家賃収入を生み続け、価値が落ちにくい「資産性」の高い物件を選ぶこと。これに尽きます。
そして、その最適解の一つが、需要が安定し、供給が限られている「都心の中古ワンルームマンション」なのです。
まとめ&Q&A
最後に、この記事のポイントをまとめます。
- 節税のカラクリは、減価償却費で「帳簿上の赤字」を作り出すこと。
- 年収700万円のモデルケースでは、年間約9.3万円の節税効果が期待できる。
- しかし、「節税」だけを目的にすると「儲からない物件を買う」「将来の増税」「売却時の高額な税金」という3つの罠に陥る。
- 不動産投資で本当に重視すべきは、節税効果より、価値が落ちにくい「資産性」である。
よくある質問
Q. 結局、不動産投資は節税になりますか?
A. なります。しかし、それはあくまで「おまけ」です。節税効果を期待して投資判断を誤ることが最も危険です。本質はあくまで、長期的に安定した収益を生む資産を持つことにあります。
Q. 確定申告は難しいですか?会社にバレませんか?
A. 最初の1回は戸惑うかもしれませんが、会計ソフトを使えば誰でも可能ですし、税理士に依頼することもできます。また、確定申告の際に住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」にすれば、会社に通知が行くことはまずありません。より詳しい流れは「中古ワンルームマンション購入の流れ」の記事も参考にしてください。
Q. 節税効果が最も高い物件はどんなものですか?
A. 鋭い質問ですね。理論上は、減価償却期間が短い「中古の木造アパート」などが節税効果は高くなります。しかし、そうした物件は銀行の評価が出にくく融資が組めなかったり、資産価値の減少スピードが速かったりと、投資対象としては非常にハイリスクです。「区分マンションか一棟アパートか」という議論も含め、「節税効果が高い=良い物件」ではない、という典型例ですね。
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赤坂ファイナンシャル株式会社 代表取締役
元大手企業勤務、3,000人以上の相談実績と著書『地味な投資で2000万円』を持つお金のプロ。ファイナンシャルプランナー、クレジットカードアドバイザー®として、難しい金融の話を初心者向けにわかりやすく解説しています。
主な実績
著書:『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』
メディア出演:テレビ朝日「グッド!モーニング」、週刊SPA!、現代ビジネス、プレジデントオンライン等 多数
講演実績:一部上場企業、経営者団体など