「新築ワンルーム、儲かりますよ」その営業電話、絶対に信じてはいけない理由
こんにちは!累計3000人以上の資産相談に乗ってきた、あなたの資産形成パートナー、まさとFPです。
不動産投資に興味を持ち始めると、どこから情報を得たのか、こんな営業電話がかかってくることはありませんか?
「〇〇(人気の地名)に、新築のワンルームマンションが完成します。節税にもなりますし、将来の年金代わりにも最適ですよ。一度お話だけでも…」
綺麗でおしゃれな新築物件。安定した家賃収入。節税効果。プロの営業マンによる、理路整然とした魅力的なプレゼンテーション…。思わず「悪くない話かも」と、心が揺らいでしまいますよね。
しかし、ここで私は、10年以上この業界で無数の投資家を見てきた専門家として、あなたに警鐘を鳴らさなければなりません。
もしあなたが不動産投資の初心者なら、その「新築ワンルーム投資」の話は、95%以上の確率で、あなたの資産を蝕む“甘い罠”です。
この記事では、なぜ多くの新築ワンルーム投資が「儲からない」どころか「負債」になってしまうのか、その構造的なカラクリを暴露します。そして、プロが危険な物件を一瞬で見抜くための具体的なチェックリストを、あなただけに伝授します。
1. なぜ危険だとわかっていても、私たちは「新築」に惹かれてしまうのか?
まず、新築ワンルーム投資がなぜこれほどまでに多くの初心者を魅了するのか、その理由を客観的に見てみましょう。営業マンが強調するポイントは、確かに魅力的に聞こえるものばかりです。
- 綺麗で最新設備:当然、入居者がつきやすいと感じる。
- 当面は修繕費がかからない:面倒な出費がなさそうで安心。
- 節税効果をアピールされる:サラリーマンにとって「節税」は魔法の言葉。
- 営業マンがプロに見える:専門用語を交えた巧みなセールストークに、思わず信頼してしまう。
これらの「分かりやすい魅力」の裏に、巧妙に隠された“不都合な真実”が潜んでいるのです。
2.【全ての元凶】新築ワンルームが「儲からない」たった一つのシンプルな理由
新築ワンルーム投資が構造的に儲かりにくい理由は、たった一つに集約されます。それは、あなたが支払う物件価格に、巨額の「新築プレミアム」が上乗せされているからです。
新築物件価格のカラクリ

あなたが提示される3,000万円という価格には、本来の物件価値(土地代+建築費)に加えて、以下のようなコストがてんこ盛りに含まれています。
- デベロッパー(開発業者)の莫大な利益
- モデルルームの建設費や維持費
- テレビCMやインターネット広告などの巨額な広告宣伝費
- 営業マンの人件費や販売会社の利益
私が分析してきた感覚では、これらの「新築プレミアム」は、物件価格の約20%を占めます。つまり、あなたが3,000万円で新築ワンルームを買った瞬間、その物件の本当の市場価値は2,400万円程度に下落するのです。
これは、新車を買ってディーラーから一歩公道に出た瞬間に、その価値が大きく下がるのと同じです。この「買った瞬間に発生する含み損」こそが、新築ワンルーム投資が極めて不利なゲームである最大の理由です。
3. 初心者を沈める「3つの罠」~新築ワンルーム投資の典型的な失敗パターン~
新築プレミアムというハンデを背負った投資は、多くの場合、以下の3つの罠によって、ゆっくりと、しかし確実にオーナーを追い詰めていきます。
罠①:「サブリース(家賃保証)」という時限爆弾
営業マンはよく「30年間家賃を保証しますから安心です」と言います。しかし、契約書をよく見てください。「2年ごとに家賃を見直すことができる」という条項が必ず入っています。新築時の高い家賃が保証されるのは最初の2年間だけ。その後は周辺の家賃相場に合わせて、ほぼ確実に保証賃料は引き下げられます。その結果、ローン返済額を下回り、毎月赤字(持ち出し)が発生するのです。
罠②:避けられない「家賃の下落」
新築時の家賃が、その物件の生涯で最も高い家賃です。どんな物件も、築年数と共に家賃は下落していきます。特に新築からの下落率は大きく、10年で10%~15%下がることも珍しくありません。シミュレーションでは新築時の家賃で計算されているため、数年後には計画が大きく狂い始めます。
罠③:「節税」という名の、ただの“損失の先送り”
「不動産所得の赤字を給与所得と損益通算して、所得税の還付を受けましょう」というのが節税のロジックです。しかし、この赤字の主な原因は、建物の減価償却費。これは経費として計上できる期間が決まっています。償却期間が終われば、この節税効果もなくなり、ただ赤字だけが残る…というケースが後を絶ちません。節税は、あくまで副次的な効果と考えるべきです。
4.【実録】まさとFPの相談室~営業マンを信じたAさんと、私を頼ったBさん~
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Aさん(相談当時)
【営業マンを信じたAさんの悲劇】
年収600万円のAさんは、営業電話をきっかけに、都内郊外の3,200万円の新築ワンルームを購入。「サブリースで安心」と言われましたが、5年後に保証家賃が引き下げられ、月々1.5万円の持ち出しが発生。売却しようにも、不動産会社からは「2,500万円なら売れるかも」と言われ、700万円もの残債が残るため売ることもできず、まさに“塩漬け”状態に。「あの時、誰かに相談していれば…」と今も後悔されています。
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Bさん(相談当時)
【契約寸前で私に相談したBさんの選択】
年収650万円のBさんは、Aさんと全く同じような新築物件の契約寸前で、私の個別相談に来られました。私は、その物件の「新築プレミアム」と、5年後・10年後の現実的な家賃下落シミュレーションを提示。Bさんはその場で購入を中止しました。
そして、その代わりに私が提案した、同エリアの築10年の中古区分マンション(2,400万円)を購入。価格が適正なため、ローン返済をしても月々手元にキャッシュフローが残り、安定した経営を続けています。「あの相談がなければ、今頃Aさんと同じ道を辿っていたかもしれません。本当に感謝しています」と仰っています。
5.【プロの目】危険な物件を一瞬で見抜く「5つの質問」
では、あなたが営業マンと対峙した時、どうすれば危険な物件を見抜けるのか。以下の5つの質問を、勇気を持ってぶつけてみてください。相手が言葉を濁したり、明確に答えられなかったりした場合、その物件は危険信号です。
- 質問①:「この物件の隣にある、同じ広さの“中古”マンションは今いくらで売られていますか?」
→ これで「新築プレミアム」がいくら乗っているかが分かります。 - 質問②:「この想定家賃の根拠は、どの物件の成約事例ですか?書面で見せてください」
→ 希望的観測ではなく、現実の家賃相場に基づいているかを確認します。 - 質問③:「5年後、10年後に家賃が10%下落した場合の収支シミュレーションも出してください」
→ 将来の赤字リスクを直視させます。これを出せない営業マンは論外です。 - 質問④:「サブリース契約の、賃料改定に関する条文を指差して説明してください」
→ 「保証」という言葉の裏にある、オーナーに不利な条項を明らかにします。 - 質問⑤:「御社を通さず、他の不動産会社でこの物件を売却した場合の想定価格はいくらですか?」
→ 買った瞬間に価値が下がる「出口のない物件」ではないかを確認します。
まとめ:新築という“幻想”から抜け出し、現実的な“資産”を手に入れよう
ここまで読んで、新築ワンルーム投資の危険性をご理解いただけたと思います。
- 新築ワンルームは、価格に巨額の「プレミアム」が上乗せされており、買った瞬間に含み損を抱える。
- 「サブリース」や「節税」という甘い言葉の裏には、将来の赤字に繋がる罠が隠されている。
- プロは、「周辺の中古価格」や「現実的な家賃推移」を冷静に比較し、その物件が持つ本当の実力を見抜く。
もちろん、ごく稀に、再開発が進む都心一等地などで、将来的な価値上昇が見込める「本物」の新築物件も存在します。しかし、そんな優良物件の情報は、一般の初心者に回ってくることはまずありません。
私たちが選ぶべきは、「新築」という聞こえの良い幻想ではなく、価格が市場原理で決まっている「中古」という現実的な資産です。特に、需要が安定した都心の中古区分マンションこそ、サラリーマンが堅実に資産を築くための、最も賢明な選択肢なのです。
営業マンの話、契約前にセカンドオピニオンを!
「今、まさに新築ワンルームを勧められている…」
「この提案書が本当に正しいのか、プロに見てほしい」
そんな方は、契約書にサインする前に、ぜひ一度ご相談ください。そのハンコ一つが、あなたの30年を左右します。

赤坂ファイナンシャル株式会社 代表取締役
元大手企業勤務、3,000人以上の相談実績と著書『地味な投資で2000万円』を持つお金のプロ。ファイナンシャルプランナー、クレジットカードアドバイザー®として、難しい金融の話を初心者向けにわかりやすく解説しています。
主な実績
著書:『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』
メディア出演:テレビ朝日「グッド!モーニング」、週刊SPA!、現代ビジネス、プレジデントオンライン等 多数
講演実績:一部上場企業、経営者団体など