「マイホームも欲しいけど、将来のために不動産投資も気になる…」
「不動産投資ローンって、住宅ローンと何が違うの?」
「同じ不動産を買うローンなのに、金利や審査の厳しさが違うのはなぜ?」
マイホーム購入で身近な「住宅ローン」と、資産形成のための「不動産投資ローン」。この2つを同じものだと考えていませんか?
実は、この2つのローンは、目的・審査基準・金利、そして金融機関の見る視点が全く異なります。この違いを理解しないまま進めてしまうと、思わぬ審査落ちや、最悪の場合、契約違反に問われる可能性すらあります。
この記事では、数多くのローン相談に乗ってきたFPが、住宅ローンと不動産投資ローンの本質的な違いを、金融機関の視点も交えながら、誰にでも分かるように徹底解説します。
【結論】住宅ローンと不動産投資ローンの決定的違いは「目的」と「返済原資」
まず結論からお伝えします。2つのローンの最大の違いは、「誰が住み、何で返済するか」です。
項目 | 住宅ローン | 不動産投資ローン |
---|---|---|
目的 | 自分や家族が住むため(居住用) | 他人に貸して家賃収入を得るため(事業用) |
位置づけ | 消費 | 事業・投資 |
返済原資 | 契約者の給与収入など | 入居者が支払う家賃収入 |
金利 | 低い(国の政策的な後押しも) | 高い(事業性ローンのため) |
住宅ローンは、あなたの「給与」を元手にした個人のためのローン。一方、不動産投資ローンは、購入物件が生み出す「家賃収入」を元手にした、金融機関から見れば完全に「事業に対する融資」なのです。この視点の違いが、審査基準や金利の差に直結します。
金融機関はココを見ている!審査基準の決定的違い
金融機関が融資を実行する際に最も気にするのは「貸したお金が、利息を含めてきちんと返ってくるか」です。そのために、返済原資が異なる2つのローンでは、審査で見るポイントが大きく異なります。
住宅ローンの審査ポイント
個人の「返済能力」を重視
- 年収:借入額とのバランス(返済負担率)
- 勤務先・勤続年数:収入の安定性
- 個人の信用情報:過去の延滞歴など
- 健康状態:団信に加入できるか
不動産投資ローンの審査ポイント
物件の「収益性」が最重要
- 物件の収益性:安定した家賃収入が見込めるか
- 担保価値:万が一の場合に売却して回収できるか
- 事業計画:空室や家賃下落リスクを考慮しているか
- 個人の属性:年収や自己資金(事業主としての信頼性)
「年収の8倍まで」は住宅ローンだけの話
よく「借入額は年収の〇倍まで」と言われますが、これは主に住宅ローンの話です。住宅ローンは、個人の給与収入という比較的安定した返済原資があるため、年収を基準に融資額の上限がある程度決まります。
しかし、不動産投資ローンは違います。たとえ個人の年収が高くても、購入しようとしている物件の収益性が低い(=事業として成り立たない)と判断されれば、融資は全くおりません。逆に、個人の年収はそこそこでも、非常に収益性の高い優良物件であれば、年収の10倍以上の融資が実行されるケースもあります。
つまり、不動産投資ローンにおいては、あなた個人の属性以上に、「パートナーとなる物件の魅力」が審査の鍵を握るのです。
なぜ金利が違う?変動金利と固定金利の考え方
一般的に、事業性ローンである不動産投資ローンは、住宅ローンよりも金利が高く設定されています。これは、空室や家賃滞納など、給与収入よりも不確定要素が多い「家賃収入」を返済原資とするため、金融機関にとって貸し倒れリスクが高いと見なされるからです。
金利タイプの一般的な選び方
- 住宅ローン:歴史的な低金利を背景に、金利の低い「変動金利」が人気。金利上昇リスクはありますが、返済負担を抑えたいニーズが強い。
- 不動産投資ローン:事業計画の安定性を最優先するため、金利が変わらず収支計画が立てやすい「固定金利」を選ぶ投資家も多い。金利は高めでも、リスクを嫌う堅実な選択。
もちろん、戦略的に変動金利を選ぶ投資家もいますが、初心者の場合は特に、事業の安定性を損なわない金利タイプを慎重に選ぶ必要があります。
【絶対NG】住宅ローンでの不動産投資は契約違反!
「金利が低いなら、住宅ローンで物件を買って、黙って他人に貸せば儲かるのでは?」
このように考える方がいますが、これは絶対にやってはいけない明確な契約違反です。
住宅ローンの目的外利用がバレた場合のリスク
金融機関は、住宅ローンが適切に利用されているか(契約者本人が居住しているか)を定期的に調査しています。もし、居住実態がないことが発覚した場合、以下の厳しいペナルティが課される可能性があります。
- 融資残高の一括返済請求
- 金利の高い不動産投資ローンへの強制的な切り替え
- 悪質な場合は詐欺罪に問われる可能性も
軽い気持ちで行った不正が、自己破産に繋がりかねない非常に危険な行為であることを、肝に銘じてください。
まとめ:2つのローンの違いを理解し、目的に合った選択を
住宅ローンと不動産投資ローンの違い おさらい
- 目的:「自分が住む」ための住宅ローン、「他人に貸す」ための不動産投資ローン。
- 審査:住宅ローンは「個人の属性」、不動産投資ローンは「物件の収益性」が最重要。
- 金利:事業である不動産投資ローンの方が、リスクが高い分、金利も高く設定される。
- 相互利用:住宅ローンで購入した物件を賃貸に出すのは、絶対にNGな契約違反。
住宅ローンと不動産投資ローンは、似て非なる全く別の金融商品です。それぞれの特性を正しく理解することが、マイホーム購入と不動産投資、双方を成功させるための第一歩となります。
特に不動産投資ローンは、金融機関に「この事業計画なら、確実なリターンが見込める」と納得させることが不可欠です。では、具体的にどのような物件や計画であれば、金融機関は融資を承認してくれるのでしょうか。
不動産投資ローンの審査を有利に進めるための具体的なテクニックや、金融機関が見るポイントについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
▶ 不動産投資ローンの審査を通す秘訣 金融機関が見るポイントと対策

赤坂ファイナンシャル株式会社 代表取締役
元大手企業勤務、3,000人以上の相談実績と著書『地味な投資で2000万円』を持つお金のプロ。ファイナンシャルプランナー、クレジットカードアドバイザー®として、難しい金融の話を初心者向けにわかりやすく解説しています。
主な実績
著書:『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』
メディア出演:テレビ朝日「グッド!モーニング」、週刊SPA!、現代ビジネス、プレジデントオンライン等 多数
講演実績:一部上場企業、経営者団体など