ワンルームマンション投資を検討していると、「ワンルームマンション規制」という言葉を耳にすることがあります。「なんだか難しそう…」「自分の投資計画に関係あるの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
ご安心ください。この記事では、これまで3,000人以上の資産相談に乗ってきたFPの私が、ワンルームマンション規制の基本から、具体的な条例があるエリア、そしてあなたの投資に与える影響まで、どこよりも分かりやすく解説します。
この記事を読めば、規制を正しく理解し、それを逆手に取った賢い投資戦略を立てられるようになります。
そもそも「ワンルームマンション規制」とは?
ワンルームマンション規制とは、簡単に言うと「自治体が定めた、ワンルームマンションを建てる際のルール」のことです。正式には「ワンルーム形式集合建築物指導要綱」などと呼ばれます。
この規制は、ある特定のエリアでワンルームマンションが急増したことによる、さまざまな問題を防ぐために作られました。
なぜ規制が必要なの?その背景
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1. 地域コミュニティの希薄化
単身者の入居者が多いワンルームマンションは、人の入れ替わりが激しく、町内会活動への参加率も低い傾向にあります。その結果、地域住民との関係が希薄になり、コミュニティが衰退してしまう懸念がありました。
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2. 自治体の税収問題
住民税は、前年の所得に対して課税されるため、転勤などで1月1日時点でその自治体に住んでいない単身者が多いと、自治体の税収が不安定になります。安定した行政サービスを維持するためにも、ファミリー層に長く住んでもらう必要があったのです。
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3. 住環境の悪化
狭い敷地に建てられたマンションが増えると、日照問題やゴミ出しルールのトラブルなど、近隣住民との摩擦が生じやすくなります。こうした問題を防ぎ、良好な住環境を保つ目的もあります。
具体的な規制内容の例
規制の具体的な内容は自治体によって異なりますが、主に以下のようなルールが定められています。
規制項目 | 内容の例 |
---|---|
専有面積の最低基準 | 「1戸あたり25平方メートル以上」のように、部屋の最低面積を定める。 |
ファミリータイプ住戸の設置義務 | マンション全体の戸数のうち、一定割合以上をファミリー向け住戸(例:40平方メートル以上)にするよう義務付ける。 |
管理人室の設置・管理人の常駐 | 一定戸数以上のマンションに管理人室の設置や、日中の管理人常駐を求める。 |
駐車場・駐輪場の設置基準 | 戸数に応じた駐車場や駐輪場の設置を義務付ける。 |
※これらはあくまで一例です。詳細は各自治体のホームページ等で必ず確認してください。
ワンルームマンション規制がある主なエリア
ワンルームマンション規制は、特に人口が集中する都心部で導入されています。代表的なエリアは以下の通りです。
規制が厳しい代表的なエリア
- 東京都: 23区の多く(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区、豊島区など)、武蔵野市、三鷹市など
- 神奈川県: 横浜市、川崎市
- 埼玉県: さいたま市
- 千葉県: 市川市
- 大阪府: 大阪市
- 愛知県: 名古屋市
- 福岡県: 福岡市
特に東京23区は、ほとんどの区で独自の厳しい規制を設けています。投資を検討する際は、必ずそのエリアの自治体の条例を確認することが不可欠です。
【FPの体験談】条例変更で起きたこと
以前、私が担当したお客様で、ある区の規制が強化される直前にワンルームマンションを購入された方がいました。規制強化(最低面積が25m2に引き上げ)により、その方が購入した22m2の部屋は「既存不適格」となり、同じ規模のマンションはもう建てられなくなりました。結果、供給が減って希少価値が高まり、数年後には購入時よりも高い価格で売却できたのです。規制はリスクだけでなく、チャンスにもなり得るという好例ですね。
規制がワンルームマンション投資に与える影響
「規制があるなら、そのエリアの物件は避けるべき?」と思うかもしれませんが、一概にそうとは言えません。規制にはメリット・デメリットの両側面があります。
メリット(プラスの影響)
- 希少価値が上がる: 新規供給が制限されるため、既存物件の希少性が高まります。特に立地の良い物件は資産価値が維持・向上しやすいです。
- 供給過多を防ぐ: 無秩序な建設が抑制され、エリア全体の供給バランスが保たれるため、空室リスクや家賃下落リスクが低減します。
- 物件の質が向上する: 最低面積や設備の基準が設けられることで、入居者にとって魅力的な、質の高い物件が増える傾向にあります。
デメリット(マイナスの影響)
- 物件価格が高くなる: ファミリータイプの併設義務などで建築コストが上がり、新築物件の販売価格が高騰しやすくなります。
- 表面利回りが低くなる: 物件価格の上昇に伴い、家賃収入から計算される表面利回りは低くなる傾向があります。
- 投資エリアが限定される: 規制の厳しい都心部を避け、郊外に目を向ける投資家も増えますが、その分、都心か郊外か、賃貸需要の見極めがより重要になります。
【FPからの投資アドバイス】
結論から言うと、私は「規制エリアの中古ワンルームマンション」を狙うことを推奨する場合が多いです。これは、富裕層が都心の中古ワンルームを買い増す理由とも共通しますが、規制によって新規供給が絞られるため需給バランスが崩れにくく、長期的に安定した家賃収入と資産価値の維持が期待できるからです。利回りの数字だけでなく、「供給が制限されている」という事実がいかに強力な追い風になるかを理解することが重要です。
FPが回答!ワンルームマンション規制Q&A
お客様からよくいただく質問について、Q&A形式でお答えします。
規制が施行される前に建てられた中古物件にも、条例は適用されますか?
A. いいえ、適用されません。規制は基本的に「これから新しく建てる物件」が対象です。そのため、規制前に建てられた物件(既存不適格物件)は、現行のルールでは建てられない希少な物件として、かえって価値が高まることがあります。
規制が今後、他のエリアにも広がる可能性はありますか?
A. 可能性は十分にあります。特に、今後も人口流入が見込まれる地方の主要都市などでは、同様の問題が発生し、新たに規制が導入されるケースが考えられます。規制がないエリアの物件を選ぶ際は、人口動態のデータを見ながら将来的な条例新設のリスクも頭に入れておく必要があります。
規制エリアで物件を探す際の注意点を教えてください。
A. まず、新築物件は価格が高騰しているため、利回りが低くなりがちです。長期的な視点で資産価値を重視するのか、短期的なキャッシュフローを重視するのか、ご自身の投資戦略を明確にすることが大切です。私としては、前述の通り、規制エリア内で条件の良い「中古物件」を探し、希少性を味方につける戦略をおすすめします。その際は、新築と中古のキャッシュフローや資産価値の違いを理解した上で、駅からの距離や周辺環境など、普遍的な価値をより一層シビアに見極めるようにしましょう。
まとめ:規制は敵じゃない!正しく理解して投資の味方に
今回は、ワンルームマンション規制について解説しました。
この記事のポイント
- ワンルームマンション規制は、住環境や地域コミュニティを守るための自治体のルールである。
- 主に東京23区や各政令指定都市など、人口が密集するエリアで導入されている。
- 規制は物件価格の上昇を招く一方、既存物件の希少価値を高め、資産価値を安定させるという大きなメリットがある。
- 投資戦略としては、規制エリア内の「中古物件」を狙うことで、規制を追い風にできる可能性がある。
「規制」と聞くとネガティブな印象を持つかもしれませんが、その本質を理解すれば、むしろ堅実な不動産投資を行う上での強力な武器となります。ぜひ本記事の内容を参考に、ご自身の投資エリア選定や物件選びに役立ててください。
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赤坂ファイナンシャル株式会社 代表取締役
元大手企業勤務、3,000人以上の相談実績と著書『地味な投資で2000万円』を持つお金のプロ。ファイナンシャルプランナー、クレジットカードアドバイザー®として、難しい金融の話を初心者向けにわかりやすく解説しています。
主な実績
著書:『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』
メディア出演:テレビ朝日「グッド!モーニング」、週刊SPA!、現代ビジネス、プレジデントオンライン等 多数
講演実績:一部上場企業、経営者団体など