その物件、本当に大丈夫?違法建築・既存不適格物件を見抜く方法

資産運用初心者向け
違法建築・既存不適格物件の見抜き方|不動産投資リスク

価格が手頃な中古物件や、高利回りをうたう投資物件。魅力的に見えますが、その物件、もしかしたら「違法建築」「既存不適格」かもしれません。「専門用語で難しそう…」と避けて通ると、後で「ローンが組めない」「売却できない」「建て替えできない」といった、取り返しのつかない事態に陥る可能性があります。

こんにちは。これまで3,000人以上のお金の相談に乗ってきたFPのまさとです。不動産取引で後悔する方の多くが、この2つのキーワードへの理解不足が原因でした。

この記事では、そんな悪夢を避けるために、プロが実践している危険な物件の見抜き方を、誰にでも分かるように徹底解説します。

最重要:「違法建築」と「既存不適格」の決定的な違い

この2つは似ているようで、意味は全く違います。まずはこの違いを正確に理解することが第一歩です。

違法建築物件(アウト!)

建築された時点から、法律(建築基準法など)に違反している建物。


  • 状態: 明確な法律違反。
  • 原因: 悪質な手抜き、建ぺい率・容積率オーバーなど。
  • リスク: ローン不可、是正命令、罰則の対象になることも。

既存不適格物件(グレー)

建築時は合法だったが、その後の法改正で現行の基準に合わなくなった建物。


  • 状態: 違法ではないが、今のルールには不適合。
  • 原因: 耐震基準の変更などが主。
  • リスク: ローン審査が厳しい、増改築や建て替えに制限あり。

簡単に言えば、「違法建築」は生まれた時からルール違反のアウトロー、「既存不適格」は昔はOKだったけど時代が変わってしまった元ヤン、といったイメージです。どちらも注意が必要ですが、特に「違法建築」は絶対に手を出してはいけない物件です。

FPが警鐘!これらの物件に潜む5大リスク

「少しぐらいルール違反でも、安ければいいのでは?」と思うのは非常に危険です。私がこれまで見てきた中でも、これらの物件に手を出してしまった方々が直面したリアルなリスクをご紹介します。

リスク1:住宅ローンが組めない・通らない

金融機関は、法律に違反している物件や担保価値が低い物件への融資を極端に嫌います。特に違法建築は、ほぼ全ての金融機関でローン審査に通りません。既存不適格物件も、融資額が減らされたり、金利が高くなったりするケースがほとんどです。こうした事態を避けるためにも、不動産投資ローンの審査を通す秘訣を事前に理解しておくことが重要です。

FPの相談事例:ローン否決で手付金が…

お客様Bさんは、相場より2割も安い戸建てを見つけ、舞い上がって手付金を払ってしまいました。しかし、いざローン審査に出すと全滅。容積率を大幅にオーバーした違法建築だったのです。結局、ローン特約(ローンが通らなかった場合に契約を白紙に戻せる約束)を付けていなかったため、支払った手付金100万円は戻ってきませんでした。

リスク2:売却したくても売れない「負動産」に

あなたが見つけたときと同じように、次の買主もローンを組むのが困難です。そうなると、買主は現金一括で購入できる人に限定され、買い叩かれることになります。結果、資産になるはずの不動産が、ただ固定資産税を払い続けるだけの「負動産」と化してしまいます。このような失敗を避けるため、購入前に出口戦略(売却のタイミングと高く売るコツ)を明確に描いておくことが極めて重要です。

リスク3:増改築・建て替えができない

既存不適格物件の場合、同じ規模の建物を建て替えることはできません。現行法に合わせるため、今より小さい家しか建てられないのです。違法建築の場合は、違反状態を是正しない限り、リフォームや増築の許可すら下りません。

リスク4:災害時の安全性が低い

特に1981年以前の「旧耐震基準」で建てられた既存不適格物件は、震度6以上の大地震で倒壊するリスクが高いとされています。また、違法な増改築は建物のバランスを崩し、耐震性を著しく低下させます。物件を選ぶ際は、新築と中古の資産価値やキャッシュフローの違いと合わせて、こうした構造上の安全性も比較検討しましょう。

リスク5:行政からの是正命令(違法建築のみ)

頻繁にあることではありませんが、近隣からの通報などにより行政の調査が入り、違反が発覚した場合、使用禁止や撤去などの是正命令が出される可能性があります。命令に従わなければ罰金が科されることもあります。

プロが実践!危険な物件を見抜くセルフチェック法

では、どうすればこれらの物件を避けられるのでしょうか。不動産会社の言葉を鵜呑みにせず、自分で確認できるポイントをご紹介します。

ステップ1:書類で確認する

確認書類 チェックポイント
建築確認済証・検査済証 建築計画が適法かを確認したのが「建築確認済証」。計画通りに建てられたかを確認したのが「検査済証」。この「検査済証」がない物件は要注意です。(※昔の物件はない場合も多い)
重要事項説明書 「備考」や「特記事項」の欄に、「再建築不可」「既存不適格」「セットバック要」などの記載がないか、一言一句見逃さないように確認します。特にオーナーチェンジ物件には特有の罠が隠されていることもあるため、注意が必要です。
登記事項証明書・公図 登記された床面積と、販売図面に書かれた面積に大きな乖離がないか確認。未登記の増築部分がないかチェックします。

ステップ2:現地で確認する

  • 建ぺい率・容積率オーバーの疑い

    敷地に対して建物がパンパンに建っていませんか? 周囲の家と比べて、明らかに大きい、階数が多いといった物件は、指定された建ぺい率や容積率を超過している可能性があります。

  • 不自然な増改築の跡

    1階と2階で外壁の種類や色が違ったり、ベランダを後から部屋に改造したような跡(サンルームなど)があったりする場合、無許可で増築した違法建築の可能性があります。

  • 接道義務の違反

    建築基準法では、建物の敷地は「幅員4m以上の道路に2m以上接する」必要があります。これを接道義務と言います。路地の奥にある物件や、通路部分が極端に狭い旗竿地などは、この義務を果たしておらず「再建築不可」となっているケースがあるので注意が必要です。物件の物理的な条件とあわせ、資産価値が落ちないエリアを見極めるという視点も忘れないようにしましょう。

FPが回答!よくある質問Q&A

「検査済証」がない物件は、すべて違法建築なのでしょうか?

A. いいえ、そうとは限りません。検査済証の制度が今ほど徹底されていなかった時代(目安として2000年以前)の建物は、適法に建てられていても検査済証がないケースが多くあります。ただし、検査済証がないと「適法に建てられたことの証明」が難しくなり、ローン審査で不利になる可能性があることは覚えておきましょう。

不動産会社の担当者が「既存不適格だけど大丈夫ですよ」と言っています。信用できますか?

A. 半分は本当、半分は注意が必要です。「既存不適格」自体は違法ではないため、すぐに罰則があるわけではありません。しかし、前述の通りローンや再建築の際に大きな制約があるのは事実です。担当者は売買を成立させたいので、デメリットを軽く説明しがちです。その「大丈夫」が、具体的に何がどう大丈夫なのか、リスクをどこまで説明してくれているかを冷静に見極める必要があります。

リスクを承知の上で「既存不適格物件」をあえて買うメリットはありますか?

A. あります。最大のメリットは「価格の安さ」です。リスクがある分、周辺相場より安く購入できる可能性があります。また、昔の基準で建てられているため、今では建てられないような駅近の好立地にあるケースも。ただし、これは出口戦略(売却)までしっかり考えられる不動産投資の上級者向けです。初心者が安易に手を出すのはおすすめできません。

まとめ:究極の対策は「信頼できる業者」をパートナーにすること

ここまで、「違法建築」や「既存不適格」物件を自分で見抜くためのチェック方法を解説してきました。これらの知識は、危険な物件を避けるための強力な武器になります。

しかし、FPとして3,000人以上のお客様と向き合ってきた本音を申し上げます。それは、「素人がこれらのリスクを100%完璧に見抜くのは、極めて難しい」という現実です。

なぜ、自分だけでは見抜けないのか?

  • 専門的な書類の細かい記載や、法的な解釈を正確に読み解くには限界がある。
  • 巧妙に隠された増改築の跡や構造上の欠陥は、プロの目でなければ判断できない。
  • 悪質な業者は、意図的にリスク情報を隠したり、買主に不利な事実を伝えなかったりすることがある。

では、どうすればいいのか。私が考える究極のリスク対策は、たった一つです。

物件を探す前に、「信頼できる不動産会社」というパートナーを探すこと

これが、不動産選びで失敗しないための最も確実な道です。私が知る限り、不動産投資で成功を収めている方は、例外なく信頼できる担当者と長期的な関係を築いています。

優良な業者の見極め方

では、具体的にどうやって信頼できる会社を見つければいいのでしょうか。下記の記事で、失敗しない不動産会社の選び方や悪徳業者を見抜くチェックリストを詳しく解説しています。

  • メリットだけでなく、物件のデメリットや潜在的なリスクを正直に、むしろ率先して話してくれる。
  • こちらの質問に対し、根拠となる資料(過去の修繕履歴や議事録など)を提示して、丁寧に回答してくれる。
  • 少しでも懸念があれば、「この物件はやめておきましょう」と、顧客の立場に立ってアドバイスをくれる。
  • 目先の契約を急がせるのではなく、あなたの資産形成全体を長期的な視点で考えてくれる。

相場より安い物件には、必ず理由があります。その理由を包み隠さず説明し、リスクとリターンを天秤にかけた上で、プロとして「買うべきか、やめるべきか」を一緒に考えてくれる。そんなパートナーを見つけることが、何よりも重要なのです。そして、良い会社を見つけたら次は良い担当者と賢く付き合っていく方法を実践し、長期的な関係を築きましょう。

ホームインスペクションの活用も有効な手段ですが、それはあくまで最終確認。その前の段階で、何でも相談できる信頼のおける専門家を隣に置くこと。ぜひ「業者選び」という視点で、あなたの不動産探しの第一歩を踏み出してください。

より詳しく知りたい方へ

不動産投資の基本から応用まで、全てを網羅した完全ガイドをご用意しました。まずはここから、知識を深めてみてください。

【完全ガイド】初心者向け不動産投資の始め方

LINE登録で、専門家への相談が無料に!

【この記事を読んだ方限定】

「自分にはどんな物件が合っている?」「まずは何から始めるべき?」
そんなあなたの疑問にプロのFPが直接お答えするほか、
不動産投資で成功するための「勝ち方戦略」や、表には出ない限定情報も定期的に受け取れます。

今、下のボタンから公式LINEに登録するだけで、
通常15,000円の個別相談が初回無料に!


無理な営業は一切ありません。あなたの資産形成の第一歩を、LINEからお気軽にご相談ください。

LINEで無料相談を予約する