【FPが図解】金利上昇でローン破綻は本当?変動金利と固定金利の“正解”の選び方
こんにちは!累計3000人以上の資産相談に乗ってきた、あなたの資産形成パートナー、まさとFPです。
2024年、日銀のマイナス金利政策が解除され、ニュースやSNSではこんな言葉が毎日のように飛び交っています。
「ついに金利が上がる!」
「変動金利でローンを組んだ人は破綻する…?」
こうした情報に触れるたび、「今から不動産投資を始めて、本当に大丈夫だろうか…」「変動金利でローンを組むのは、危険な賭けなのでは?」と、あなたの心は不安でいっぱいかもしれません。
しかし、ご安心ください。私はFPとして、これまで何度も金利の変動局面を経験し、お客様の資産を守ってきました。その結論から言えば、金利の動向を正しく理解し、適切な“備え”さえしておけば、金利上昇は決して恐れるに足りません。
この記事では、変動金利と固定金利の根本的な違いから、2025年現在の市況を踏まえた最適な選び方、そしてプロが実践する鉄壁のリスク対策まで、あなたの不安を解消するための全てを、具体的にお話しします。
1.【結論】2025年現在、過度な心配は不要。ただし“思考停止”は危険
まず、今のあなたの最大の疑問にお答えします。「日本の金利は、今後どうなるのか?」
様々な意見がありますが、私を含め多くの専門家は、「金利は緩やかに上昇する可能性はあるが、欧米のような急激な利上げは考えにくい」と見ています。
なぜなら、急激な金利上昇は、住宅ローンを変動金利で組んでいる多くの国民の生活や、国の借金(国債)の利払い費を直撃し、日本経済全体に深刻なダメージを与えかねないからです。政府・日銀も、それは避けたいはずです。
【まさとFPの視点】
重要なのは、「上がるか、下がるか」を当てることではありません。それは誰にも分かりません。私たちがすべきなのは、「もし、金利が1%上昇したら、自分の返済額はどうなるのか?」を具体的に把握し、「その時、自分はどう対処するのか?」という対策を、あらかじめ決めておくことです。この“備え”こそが、プロと素人を分ける決定的な差です。
2. 変動金利 vs 固定金利、あなたに最適なのはどっち?【徹底比較】
では、不動産投資ローンにおける2大選択肢、「変動金利」と「固定金利」のどちらを選ぶべきか。それぞれの特徴を比較し、メリット・デメリットを整理しましょう。
✅ 変動金利 | ✅ 固定金利 | |
---|---|---|
金利水準 | 低い(1%台~) | 高い(2%台~) |
金利変動リスク | あり(半年ごとに見直し) | なし(借入期間中ずっと一定) |
月々の返済額 | 少ない | 多い |
向いている人 | ・金利上昇時に繰上返済できる人 ・キャッシュフローを重視する人 |
・将来の返済額を確定させたい人 ・金利の動向を気にしたくない人 |
FPとしての結論:不動産投資なら「変動金利」が基本戦略
住宅ローンの場合はご家庭の状況によりますが、「不動産投資」という事業においては、変動金利を選択するのが基本戦略です。なぜなら、投資の目的は「家賃収入から経費とローン返済を引いた、手残りのキャッシュフローを最大化すること」だからです。
金利が低い変動金利は、月々の返済額を抑え、キャッシュフローを大きくしてくれます。もちろん金利上昇リスクはありますが、それは次の章で解説する「対策」で十分にコントロール可能です。
3.【衝撃シミュレーション】もし金利が1%上昇したら、返済額はいくら増えるのか?
「リスクをコントロールする」と言うからには、まずそのリスクを具体的に「見える化」する必要があります。仮に、3,000万円を35年ローン(元利均等返済)で借りた場合、金利が1%上昇すると、月々の返済額はどうなるか見てみましょう。

- 金利1.0%の場合: 月々の返済額 約84,685円
- 金利2.0%の場合: 月々の返済額 約99,378円
差額:約 +14,693円 / 月
いかがでしょうか。金利が1%上がると、月々の負担は約1.5万円増える、ということが具体的に分かりました。これが、私たちが「備えるべき」リスクの大きさです。この金額を見て、「それくらいなら、家賃収入の範囲内で十分に吸収できるな」「この金額を、毎月貯蓄しておけばいいんだな」と、冷静に対策を考えられるようになります。
4.【プロの実践】金利上昇リスクを無力化する“3つの防衛策”
では、先ほどの月々約1.5万円の負担増に、どう備えるか。私がお客様に必ずお伝えしている、プロが実践する3つの防衛策をご紹介します。
防衛策①:金利上昇分を「つもり貯金」する
最も簡単で、最も効果的な対策です。現在の低い金利でローンを組みつつも、頭の中では「金利が1%上がった場合の返済額」を毎月支払っている“つもり”になり、その差額を別の口座に貯金していく方法です。先ほどの例なら、毎月1.5万円を貯蓄に回します。これだけで、実際に金利が上がっても、慌てることは一切ありません。
防衛策②:キャッシュフローで「繰り上げ返済」を加速させる
不動産投資で得られたキャッシュフローを、遊びに使ってしまうのではなく、積極的に繰り上げ返済に回しましょう。繰り上げ返済で元本を減らせば、将来の金利上昇時の利息負担を大幅に軽減できます。特に、返済期間を短くする「期間短縮型」の繰り上げ返済が効果的です。
防衛策③:インフレに合わせて「家賃を上げる」交渉をする
そもそも、金利が上昇するのは、景気が上向き、インフレ(物価上昇)になっている時です。世の中のモノやサービスの値段が上がっているのですから、あなたの資産が生み出すサービスである「家賃」を上げる交渉をするのは、当然の権利です。周辺の家賃相場を見ながら、入居者の更新時などに、緩やかな家賃の値上げ(賃料増額請求)を検討しましょう。
5.【実録】FP相談室~金利上昇の不安で一歩が踏み出せなかったIさんの事例~

Iさん(41歳)
まさとさん、不動産投資には非常に興味があるのですが、どうしても金利上昇が怖くて…。変動金利はリスクが高いと聞きますし、かといって固定金利だとキャッシュフローがほとんど出ない。どうすればいいか分からず、もう1年以上も足踏みしています。

まさとFP
Iさん、そのお気持ちはよく分かります。恐怖の正体は、「知らないこと」です。先ほどのシミュレーションのように、リスクを「見える化」し、具体的な「対策」を立てれば、恐怖は「管理すべき課題」に変わります。変動金利で始めて、先ほどの防衛策①「つもり貯金」を徹底しませんか?それで、Iさんの不安は9割解消できますよ。
その後、Iさんは変動金利でローンを組み、見事に大家さんデビュー。「つもり貯金」を実践することで、「いつ金利が上がっても大丈夫」という絶大な安心感を得られ、今では精神的に余裕を持って、2戸目の購入を検討されています。
まとめ:金利は「恐れる」な、「使いこなせ」
金利上昇は、不動産投資家にとって無視できないリスクです。しかし、それは「備えあれば憂いなし」の典型例でもあります。
- 日本の金利は、急激に上昇する可能性は低いと見られている。
- 不動産投資の基本戦略は、キャッシュフローを最大化する「変動金利」。
- 金利が1%上昇しても、月々の返済額増は管理可能な範囲。具体的な金額を把握することが重要。
- 「つもり貯金」「繰り上げ返済」「家賃交渉」という3つの防衛策で、リスクは無力化できる。
金利のニュースに怯える側から、金利を冷静に分析し、戦略的に使いこなす側へ。この記事が、あなたが本物の投資家へと進化するきっかけになれば幸いです。
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赤坂ファイナンシャル株式会社 代表取締役
元大手企業勤務、3,000人以上の相談実績と著書『地味な投資で2000万円』を持つお金のプロ。ファイナンシャルプランナー、クレジットカードアドバイザー®として、難しい金融の話を初心者向けにわかりやすく解説しています。
主な実績
著書:『自由に生きるための 地味な投資で2000万円』
メディア出演:テレビ朝日「グッド!モーニング」、週刊SPA!、現代ビジネス、プレジデントオンライン等 多数
講演実績:一部上場企業、経営者団体など