長期投資マガジン365(2025年8月18日号)

長期投資マガジン365

2025年8月18日号

【今号のテーマ】
静かな夏相場に届いた「インフレ鈍化」の吉報。
日米市場の温度差と長期投資家の視点

皆さま、こんにちは。お盆休みも明け、夏の終わりが近づいてきましたね。

この2週間、株式市場では夏休みらしい静かな展開の中に、今後の方向性を占う重要なニュースが飛び込んできました。

今回のマガジンでは、そのニュースを深掘りし、私たち長期投資家が学ぶべき歴史のサイクルについても解説していきます。


最新マーケット情報:インフレ鈍化を追い風に米国市場は反発。日本市場は円高を警戒

この2週間は、米国で発表されたインフレ指標が市場の雰囲気を大きく左右しました。インフレ鈍化を好感して米国市場が反発する一方、日本では為替の動きが重石となり、日米で対照的な展開となりました。

S&P 500:インフレ鈍化で再上昇、最高値に迫る

8月13日に発表された7月の米・消費者物価指数(CPI)が、市場の事前予想よりも低い伸び率となりました。

これは、「アメリカのインフレが、いよいよ本格的に落ち着いてきた」という市場へのポジティブなメッセージとして受け取られています。

なぜなら、インフレが収まれば、米中央銀行(FRB)が景気を冷やすための「利上げ」を急ぐ必要がなくなり、むしろ将来的な「利下げ」が視野に入ってくるからです。この期待感が投資家心理を明るくし、S&P 500は再び史上最高値に迫る力強い上昇を見せました。

日経平均:4万円を前に一進一退。円高進行が重石に

一方、日本の日経平均は上値の重い展開が続きました。米国のインフレ鈍化は、巡り巡って日本株の重石となる「円高ドル安」を招いたからです。

米国の利下げ期待が高まると、相対的にドルの魅力が薄れて円が買われやすくなります(円高)。円高が進むと、トヨタ自動車のような輸出企業の海外での儲けが、円に換算した際に目減りしてしまいます。

この業績への懸念から、日経平均はS&P 500ほどの上昇とはなりませんでした。

今後の見通し:8月下旬の「ジャクソンホール会議」に注目

今後の焦点は、8月下旬に開催される「ジャクソンホール会議」です。

世界の中央銀行総裁や経済学者が集まるこの会議でのFRB議長の発言に、今後の金融政策のヒントを探ろうと、世界中の投資家が注目しています。


資産形成のヒント:歴史サイクルに学ぶ、景気・金利・株価の「四季」

短期的なニュースに一喜一憂しないために、過去30年の歴史が教える大きな「サイクル」を学びましょう。

このサイクルを知ることは、相場の荒波を乗り越えるための心強い羅針盤となります。

【図解】過去30年のS&P500と政策金利、景気循環の関係

過去30年のS&P500と政策金利、景気循環の関係を示すグラフ

上図は、株価(S&P 500)・政策金利・景気(リセッション)の30年間の関係性を示したものです。

株式市場を「春夏秋冬」のサイクルで理解する

一見複雑に見えるこの図には、投資のヒントに満ちた「四季」のようなサイクルが存在します。

🌱【春】回復期(金融相場)

不況の底を打ち、景気が回復に向かう時期。中央銀行は景気を刺激するため金利を非常に低く抑えます。この「金融緩和」を追い風に、株価は将来の業績回復を織り込みながら力強く上昇します。


☀️【夏】好況期(業績相場)

経済が活発化し、企業の業績が大きく伸びる時期。景気の過熱を抑えるため、利上げが開始されます。金利上昇の逆風はあるものの、それを上回る好業績を背景に株価は上昇を続けます。


🍂【秋】後退期

好況のピークを過ぎ、経済成長が鈍化する時期。高金利が経済の重石となり始め、株価は先行き不安から不安定になり、やて下落トレンドへ転換します。


❄️【冬】不況期(リセッション)

本格的な不況に突入し、株価が大きく下落する時期。しかし、景気を下支えするために急速な「利下げ」が開始され、次の「春」への芽吹きが準備される、次サイクルへの転換点でもあります。

長期投資家としての結論
このサイクルから分かる最も重要なことは、「冬(不況・株価下落)は必ず終わり、金融緩和を伴って次の春(回復・株価上昇)が訪れる」という歴史的な事実です。

この大きな流れを信頼し、特に市場が冷え込む「冬」の時期にも慌てずに積立を続けることが、将来の大きなリターンに繋がります。


読者の疑問に答える Q&Aコーナー

Q1. ニュースでよく聞く「CPI(消費者物価指数)」を、私たちはどう見れば良いですか?

A. 「世の中のモノやサービスの値段が、去年と比べて平均で何%上がったか」を示す、いわば「インフレの通知表」だと考えてください。

この数値が市場の予想より低いと「インフレ鎮静化 → 利下げ期待 → 株価にプラス」、予想より高いと「インフレ継続 → 利上げ懸念 → 株価にマイナス」と判断されやすいため、投資家が非常に注目する経済指標の一つです。

Q2. 「夏枯れ相場」で市場が静かです。こういう時期に何かした方が良いことはありますか?

A. 長期投資家にとっては「何もしない」が正解です。市場参加者が少ない夏は、少しのニュースで株価が大きく動くこともありますが、それは短期的なノイズに過ぎません。

むしろ、市場が静かな時期は、ご自身の資産配分を改めて確認したり、投資に関する本を読んで知識を深めたりする絶好の機会です。焦って売買するのではなく、学びの時間にあてましょう。

Q3. NISAで米国株と日本株の投資信託を持っています。理想的な比率はありますか?

A. 誰にとっても完璧な「理想の比率」はありませんが、一つの基準となるのが「全世界の株式市場の時価総額に応じた比率」です。

現在、全世界の株式の約6割を米国株が占めているため、これが最も中立的で客観的な比率と言えます。この「米国6:その他4(日本含む)」を基本としつつ、ご自身が日本の成長により期待するなら日本株の比率を少し増やす、といった形で調整するのが王道です。