📊 ワンポイントデータ

ワンルーム投資の利回りが下がった「本当の理由」

「都心のワンルーム、利回り低すぎてもう無理じゃない?」——そんな声をよく聞きます。でも、利回りが下がった原因をちゃんと分解してみると、ちょっと見え方が変わってきます。

物件価格(8年間)
+54%
1,466万→2,254万円
家賃(8年間)
+13%
78,316→88,361円
利回り(8年間)
▼27%
6.88%→4.99%

これは、株式会社TOCHUが東京23区内で実際に売買された2,304件のワンルームマンション(40㎡以下)を集計した、2017~2024年の成約ベースのデータです。ネット上の「売出し価格」ではなく、実際に取引が成立した価格なので、現実を反映しています。

利回り低下の正体は「ハサミ」

利回りの計算式はシンプルです。

利回り = 年間家賃 ÷ 物件価格

つまり、分母(物件価格)が大きく膨らんで、分子(家賃)がそこまで伸びなければ、利回りは下がります。まさに今の東京のワンルーム市場で起きているのが、これです。

🏠 物件価格の上昇 +54%
💴 家賃の上昇 +13%

物件価格が54%も上がっているのに、家賃は13%しか上がっていない。この差がどんどん開いていく——これが「利回り低下のハサミ」の正体です。

年ごとに見るとさらにリアル

平均成約価格平均賃料表面利回り
20171,466万円78,316円6.88%
20181,548万円79,418円6.58%
20191,620万円80,523円6.29%
20201,556万円79,680円6.41%
20211,631万円80,750円6.15%
20221,858万円82,934円5.57%
20232,063万円85,797円5.17%
20242,254万円88,361円4.99%

2020年のコロナショックで一時的に価格が下がったものの、2021年以降は急ピッチで上昇しています。一方で家賃は毎年じわじわと上がるだけ。この「スピード差」が、利回りをじりじり押し下げてきたわけです。

ここが大事なポイント

利回りが下がったからといって、「ワンルーム投資がダメになった」とは限りません。物件価格の上昇は、裏を返せばキャピタルゲイン(売却益)が出やすい環境でもあるからです。ただし、インカム(家賃収入)だけを期待する投資家にとっては、以前よりハードルが上がっているのは事実です。

都心6区はさらに顕著

千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区・文京区——いわゆる「都心6区」に限ると、この傾向はさらにハッキリ現れます。

都心6区の平均成約価格は、2017年の1,716万円から2024年の2,795万円へ。約63%の上昇です。23区平均(+54%)をさらに上回っています。一方、賃料は84,897円から99,218円へと約17%の上昇。利回りは6.07%から4.50%へ低下しました。

23区平均との価格差も2017年の約250万円から、2024年には約540万円まで拡大。「都心」と「それ以外」の二極化が進んでいるのが、数字からもはっきり読み取れます。

資産を「持つ人」と「持たない人」の差が開く局面

ここまで見てきたワンルームの価格上昇は、不動産だけの話ではありません。株式も、金も、不動産も——資産価格が上がるフェーズでは、すでに資産を持っている人の資産がどんどん膨らむ一方で、持っていない人はその恩恵をまったく受けられません。

ちょっと具体的にイメージしてみましょう。

🏠
Aさん:2017年にワンルームを買った人
  • 1,466万円で購入した物件が、2024年には2,254万円に
  • 持っているだけで+788万円の含み益
  • その間、毎月家賃収入も得ている
  • 資産が増えたことで、次の物件も買いやすくなる
💰
Bさん:同じ時期に現金で貯め続けた人
  • コツコツ貯めた現金の価値は、インフレで目減り
  • いざ買おうとしたら物件価格は788万円アップ
  • 同じ物件を買うのに、頭金もローンも増える
  • 利回りも低下しており、参入ハードルが上がっている
8年間で「持つ人」と「持たない人」の差は
788万円+家賃収入分だけ広がった

これは不動産に限った話ではありません。不景気から好景気へ、あるいは金融緩和で資産価格が上がるフェーズに入ると、資産を持っている人はその上昇に乗れるけれど、持っていない人は置いていかれる——この構造的な格差拡大が起きます。

逆に言えば、景気後退や暴落の局面では資産を持つ人がダメージを受けます。でも歴史的に見ると、資産価格は長期的には右肩上がりに推移する傾向があるので、「持たないリスク」も立派なリスクだということは知っておいて損はありません。

資産形成の「時間」は取り戻せない

「もう少し勉強してから」「もう少し頭金が貯まってから」と待っている間にも、資産価格は動き続けます。もちろん焦って飛びつくのは禁物ですが、「何もしないこと」もリスクを取っているという意識は持っておきたいところです。完璧なタイミングを待つより、小さくても早く始めて経験を積むほうが、長い目で見ると有利になりやすいのは、投資全般に共通する原則です。

📌 このデータから読み取れること
  • 利回りが下がった最大の原因は、物件価格の上昇スピードに家賃が追いついていないこと
  • 「利回り低下=儲からない」ではなく、投資の性質がインカム型からキャピタル型に変わりつつある
  • 都心6区は価格上昇がさらに大きく、利回りだけで判断すると本質を見誤る可能性がある
  • これからワンルーム投資を検討するなら、「出口(売却)まで含めたトータルリターン」で考えることが重要
  • 資産価格の上昇局面では「持つ人」と「持たない人」の差が開く。「何もしないリスク」も意識して行動することが大切
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出典:株式会社TOCHU「東京都23区ワンルームマンション成約価格・賃料・利回りに関するトレンド調査【2017~2024】」(実成約データ2,304件の集計)