トレードの三種の神器として、「1. エッジ(優位性・勝てる根拠)」、「2. 規律(ルール遵守)」、「3. 資金管理(損失管理)」の3つが大前提となる。
一般的に「1. 優位な戦略(聖杯)」探しに陥りがち。しかし、戦略(手法)には「賞味期限」がある。市場参加者やルールが変わることで、過去に機能した手法が突然機能しなくなる宿命を持つためだ。よって、特定の手法自体には依存しない。
これは、相場認識と立ち回りに関するメモ。目的は「手法」の固定ではなく、「スキル」の言語化にある。
戦略は、特定のインジケーターやパターンに依存しない。環境変化で機能しなくなるため。利益の源泉は、手法ではなく、「今、市場がどういう状況か」を正確に認識するスキル(環境認識)、および「精度の高いシナリオを構築するスキル」そのものにある。
環境認識とは、今が「上がりやすい相場」「下がりやすい相場」「方向感がない相場」なのかを見極めることであり、シナリオ構築とは『もし、この価格帯まで下がったら反発するだろう』といった未来の値動きの仮説を立てる作業を指す。「手法が相場にマッチするか?」とは考えず、「今の相場環境」を徹底的に分析し、その環境に合わせたシナリオを構築する。これこそが、変化し続ける市場で生き残る唯一のエッジである。
土台は環境認識スキルだが、戦略の「方向性」は極めてシンプルで、相場の大きな流れに従う「トレンドフォロー」に徹する。具体的には、上昇トレンド中の一時的な下落で買う「押し目買い」と、下降トレンド中の一時的な上昇で売る「戻り売り」のみに集中する。
この原則は「市場参加者の集団心理」に基づくため、普遍性が高い。環境認識(裁量)とトレンドフォロー(原則)を組み合わせ、柔軟性と堅牢性を両立させる。
突き詰めれば、「売買の力関係(需給)がリアルタイムでどう傾くか」、その一点のみを注視する。需給とは、「買いたい人(需要)」と「売りたい人(供給)」のどちらが今優勢か、そのバランスのことである。
例えば「押し目買い」の場面。4H足(4時間足)という長期の流れでは「上昇トレンド」だが、1H足(1時間足)という短期では一時的な「下降トレンド(売り先行)」になっていることがある。ミッションは、その1Hの「売り」の勢いが枯渇し、本来の4Hの「買い」が復活する、その「転換点の兆候」をローソク足(市場心理が視覚化されたグラフ)から掴むこと。短期の売りに慌てて買うと「ダマシ」に遭いやすいため、その「売り」の勢いが弱まるのを見極める必要がある。
(重要)
ローソク足の「形」の暗記は無意味。
その裏にある「市場参加者の攻防」を読み解くこと。
「兆候」と呼ぶシグナルは、主に2つ。
「売りの枯渇」を観測し、「買いの出現」をトリガーとする。これが基本戦術。
エントリータイミングは「4H足の確定」を待つ。短期足のノイズを排除し、市場の「本気度」を見極めるためだ。4時間分の値動きが完全に決まる(確定する)まで待つことで、確定前に動いて逆行する「ダマシ」を回避する。
確定した足の形を見て、「次の足がシナリオ通りに動くか」を予測し、エントリーを決定する。ここが最大の「裁量」ポイントであり、言語化が最も困難な部分。ここが、ルール化しきれない経験に基づく「裁量」判断の核心となる。
予測が「ケースバイケース」になる理由。それは、ローソク足の「パターン」ではなく、その裏にある「力関係(原則)」を見ているため。
一見、矛盾するようだが、どちらも「買いが優勢になる兆ҳо」という同一の原則に基づき判断している。『この形が出たら買い』という単純なパターン暗記ではなく、『なぜこの形ができたのか?(例:買い手が勝ったからだ)』という本質を見ることが重要である。
そして、この戦略における最大の規律、資金を守るための生命線は、極めてシンプルである。
(最重要ルール)
「兆候」が明確に確認できない限り、
絶対に取引しない。
「そろそろ反発するだろう」といった希望的観測や、「乗り遅れたくない」という焦燥感(飛び乗り)は、期待値を下げる典型的な敗因。「兆候」という「事実」が出るまで、ただ待つ。