〜未来の安心を作る、はじめの一歩〜
2025年5月12日〜25日号
先週発表された日本の1〜3月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比年率▲0.7%(※速報値)と、市場の事前予想を下回る結果となりました。「マイナス成長って、景気が悪いのかな?」と少し心配になった方もいらっしゃるかもしれませんね。
内容を見てみると、私たちの日々のお買い物などにあたる「個人消費」や「住宅投資」が少し元気がなく、企業による新しい機械の導入などの「設備投資」も伸び悩んだようです。一方で、海外への「輸出」は円安の良い影響もあって増加しましたが、国内全体の需要の落ち込みをカバーするには至りませんでした。
「経済がマイナス成長なのに、株価はそんなに下がらないし、円安も続いているのはどうしてだろう?」と感じるかもしれません。これには、いくつかの理由が考えられます。
円安は「悪いニュース」だけではない:
ニュースでは「円安で輸入品が高くなって家計が大変!」という側面が強調されがちですが、実は良い面もあるんです。
家計に響くのは輸入物価:
食料品やガソリンなどのエネルギー関連商品は海外からの輸入品が多いため、円安になるとこれらの価格が上がり、家計への負担増を感じやすくなります。この対策として、少しでも「円安のメリットを受けられる資産(例えば、外国の株式や債券に投資する投資信託など)」をポートフォリオに加えておくことが考えられます。
「投資」と聞くと「株式投資」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、資産を守りながら着実に育てていくためには、「債券」の役割も非常に重要です。今回は、債券を上手に活用して、ご自身の資産ポートフォリオの「守り」を固めるための3つのコツをご紹介します。
コツ | 具体策 | チェックポイント |
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1. 債券の“性格”を知る |
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✅ 日本の10年国債利回り、米国の10年国債利回りなど、国や債券の種類によって金利水準(期待できるリターン)が異なることを意識しましょう。 |
2. ポートフォリオの“クッション”に使う |
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✅ 例えば「株式70:債券20:現金10」のように資産配分の比率を決めたら、年に1回程度、そのバランスを見直す(リバランスする)のがおすすめです。 補足:年齢とリスク資産の割合について 一般的に、リスク資産(株式など)の割合の目安として「100 - 年齢 (%)」という考え方があります。これは、年齢が若いほど長期で運用できるためリスクを取りやすく、年齢が上がるにつれて運用期間が短くなり、安定運用を重視するため安全資産(債券や預金など)の割合を増やすという考えに基づいています。 しかし、現在の日本では超低金利が続いています。このため、従来の「100-年齢」ルールで算出される安全資産の割合(特に預金や元本保証型の保険など)では、インフレ(物価上昇)に負けてしまい、実質的な資産価値が目減りしてしまう可能性が高まっています。そのため、安全資産の中でも、ある程度のリターンが期待できる債券を選んだり、NISAなどを活用した非課税での運用を組み合わせたりするなど、時代に合わせた柔軟な対応が求められます。 |
3. 種類と買い方を絞る(初心者向け) |
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✅ 外貨建ての債券や投資信託は為替変動リスクが伴います。「つみたて投資」や「少額からの投資」で時間を分散し、円高の時に少し多めに、円安が進んだ局面では買い付けの割合を調整するなど、ご自身の判断で工夫するのも一案です。 |
A1. とても良いご質問ですね!株価というのは、現在の経済状況だけを反映するのではなく、「将来、その会社がどれくらい利益を上げられそうか」という市場の期待感を織り込んで動くという性質があります。
今回のGDPがマイナス成長だったにもかかわらず、株価が大きく崩れない背景には、以下のような期待感が影響していると考えられます。
つまり、短期的な経済指標の悪化よりも、中長期的な視点での企業利益の見通しが重視されることが多いのです。もちろん、経済指標も株価に影響を与えますが、「株価は未来を映す鏡」とも言われるように、将来への期待を先取りする性質があることを覚えておくと、日々のニュースの見方も少し変わってくるかもしれません。
A2. おっしゃる通り、円安が続くと輸入品(例えば、食料品、ガソリン、電気代の一部など)の価格が上がり、家計にとっては負担が増していると感じられますよね。
これに対する備えの一つとして、「海外の資産を持つこと」、つまり外貨建ての資産をポートフォリオに組み入れるという方法があります。具体的には、
これらの資産は、円安になると円換算での価値が上昇します。つまり、輸入品の価格上昇による家計の「痛み」を、これらの資産の「値上がり益(円ベースで見た場合)」で一部相殺できる可能性があるのです。
いきなり大きな金額で始める必要はありません。まずは「毎月の手取り収入の5%~10%くらいを目安に、ドル建てなど外貨建ての資産をコツコツと積み立てる」というイメージで始めてみてはいかがでしょうか。少額からでも、円安リスクへの長期的な備えになりますよ。
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