この章では、お金と経済の関係について基本を理解していきます。
お金は経済と密接に結びついています。
消費や投資は経済活動の一部です。
経済の仕組みや構造を理解していきましょう。
世の中全体にあるお金の量を「マネーストック」という言い方をします。
紙幣や銀行預金(外貨預金や定期預金含めて)を合わせたお金全体の量です。
上記の1280兆円は、現金紙幣、銀行の普通預金口座、定期預金、外貨預金などを含んでいます。
現金紙幣として世の中に存在しているのは、ごく1部でしかなく約100兆円です。
お金の役割は3つです。
1、価値の保存
2、価値の尺度
3、決済手段
お金は世の中を便利にするための道具です。
ただ効果が高すぎて、多くの人はお金に囚われすぎてしまいます。
特に、お金の量と人格を結びつけるのはご法度です。
自分自身にお金が入ってこなくなりますから。
お金の貸し借りの記録であると覚えておきましょう。
例えば10,000円札は、国民の資産ですが日本銀行の負債に当たります。
銀行預金は、国民の資産ですが銀行の負債に当あたります。
資産になっている人がいれば、反対に必ず負債になっている人がいます。
これがお金という存在です。
お金には常に貸借関係が成り立ちます。
▶︎銀行の期限は両替屋。
金貨がお金として使われていた時代に、保管所としての両替屋が存在していた。
金貨を両替屋に預けた分だけ「預かり証」が発行されていた。
▶︎そのうち「預かり証」だけが、市場に流通し始めました。
金貨は、重く利便性が悪かったからです。
▶︎両替屋は、そのうち貸付業務を初めました。
貸し出し方法は、「預かり証」を発行するという方法です。
▶︎最終的には、両替屋が預かっている金貨の量は関係なく、預かり証を発行し貸付を行うようになります。
なぜなら、誰も金貨を取りに来ないからです。
預かり証がお金として信用されている限り、両替屋はいくらでもゼロの状態から預かり証(お金)を発行することができる状態になったわけです。
これが、現在の銀行にあたります。
銀行は、全くゼロの状態から、「銀行預金」というお金を発行しています。
預金者から預かっている預金を誰かに貸し付けているわけではありません。
日銀は「銀行の銀行」と言われる ように、基本的な機能は同じです。
日銀に口座を持てるのは、市中銀行か政府のみです。
た だし、日銀当座預金には法律上のルー ルがあり、民間銀行は家計や企業から 預かった預金額の一定割合を一定期間の間に日銀当座預金に積み立てなければな りません。
この義務付けられた金額が「法定準備額」と呼ばれ、それを超える分は 「超過準備額」となります。
法定準備額は強制なので無利息ですが、超過準備額に は現在 0.1%の利息が付いており、日銀から民間銀行に利子が支払われています。
この超過準備額の金利は、事実上、市場での短期金利の下限になっています。
国債発行のプロセスで日銀当座預金は非常に重要な役割をになっています。
よく、国債発行は市中銀行の預金者の銀行預金を借りて発行していると勘違いしている人がいます。
実際には、銀行預金ではなく日銀当座預金を借りています。
政府が国債を発行して資金調達をすると、そのお金は必ず民間に使われます。
お金を借りて借りっぱなしと言う人はいません。必ず何かに使うために借りるはずです。
政府は国債を発行して、道路を作ったり建物を作ったり、公務員に給料を支払ったりしています。
例えば民間企業への支払いは政府小切手と言う形で支払われます。
支払いを受けた民間企業は政府小切手を銀行に持っていきます。
すると銀行が政府小切手を銀行預金に振り替えてくれます。
結果的に国債を発行すると、民間の銀行預金が増える結果となります。
よくある勘違いに、国債を発行すると銀行預金が減ると言うものがありますが実際には全く正反対です。
政府が国債を発行し資金調達すると、民間部門のお金はその分増える仕組みになっています。