長期投資マガジン365|2026年10月24日号

日経平均が約9%下落。
それでも「積立を止めない」が基本です

2026年10月1日〜23日の日経平均とS&P500を振り返りながら、 相場が大きく動いた時に長期投資家が何をすればいいのかを整理します。 今号の特集は「高配当株投資」です。

10月は、日本株を中心にかなり大きな値動きとなりました。

日経平均は一時7万円台まで上昇しましたが、その後は6万2000円台まで下落。 「このまま下がるのでは?」と不安になった方もいると思います。

ただし、最初に結論をお伝えします。

10年、20年という長期投資の時間軸で考えれば、今回の値動きは誤差の範囲です。

生活に必要なお金まで投資している、あるいは株式に偏りすぎている場合を除けば、 相場が下がったことだけを理由に投資方針を変更する必要はありません。

① 市場分析|10月の株価はどう動いた?

まず、10月1日と10月23日の終値を比較します。

指数 10月1日 10月23日 期間騰落率
日経平均 68,956.72円 62,693.16円 約 -9.1%
S&P500 7,666.45 7,623.68 約 -0.6%

日経平均は「上がってから急落」

日経平均は10月1日の68,956円から上昇し、 10月6日には終値70,683円まで上がりました。

AI・半導体関連株への買いが相場を押し上げ、 約3カ月ぶりに7万円台を回復しました。

しかし、その後は状況が変わります。

AI関連企業への巨額投資が本当に利益につながるのかという疑問、 高い金利、原油価格の上昇などが重なり、 それまで大きく上昇していた半導体株を中心に売りが広がりました。

10月23日の日経平均は62,693円。 10月1日から約9.1%下落しています。

S&P500は意外と動いていない

一方、S&P500は10月1日の7,666から10月23日の7,623へ。 下落率は約0.6%です。

途中ではAI関連株や半導体株が大きく売られる日もありましたが、 米国株全体で見ると10月1日時点とほぼ同じ水準です。

つまり今回の特徴は、 「世界中の株式が一斉に暴落した」のではなく、日本株の下落がかなり大きかった ということです。

ここで「犬の散歩」を思い出してください。

株価を「犬」、企業価値を「飼い主」に例えてみます。

散歩をしていると、犬は飼い主より先に走ったり、 急に後ろへ戻ったり、右へ左へ動き回ります。

でも飼い主は、目的地に向かってゆっくり歩いています。

株価も同じです。

数週間では大きく上がったり下がったりしますが、 長期的には企業が利益を増やしていけるかどうかが重要です。

犬が少し後ろへ走ったからといって、 飼い主まで目的地を変えたわけではありません。

10年、20年の資産形成という時間軸なら、 今回のような短期的な上下は「誤差」です。

株価が動いた。だから何もしない。 長期投資では、これも立派な判断です。

② 資産形成のヒント|「投資アプリを見ない」を仕組みにする

今月の資産形成のヒントは非常にシンプルです。

相場が荒れている時ほど、証券会社のアプリを見る回数を減らしてください。

理由は、お金の問題というより「人間の心理」の問題です。

アプリを見ない場合

  • 積立設定はそのまま続く
  • 短期ニュースに反応しにくい
  • 安値でも自動的に買える
  • 投資判断の回数そのものが減る

毎日アプリを見る場合

  • 評価額の下落が気になる
  • ニュースを検索し始める
  • 「一度売ろうか」と考える
  • 長期投資なのに短期売買の判断を始める

例えば100万円が90万円になったら

画面に「-100,000円」と表示されると、 人は強く反応します。

しかし長期投資で確認すべきなのは、 今日10万円減ったかどうかではありません。

確認するべきなのは次の3点です。

  • このお金を10年以上使う予定がないか
  • 生活防衛資金を別に確保しているか
  • 自分が耐えられる以上に株式へ投資していないか

この3つに問題がなければ、 毎日の評価額を見る意味はほとんどありません。

おすすめのルール

積立投資をしている人は、 証券口座の確認を「月1回」にしてみてください。

確認するのは株価ではなく、 「積立が正常に実行されているか」です。

相場が下がった時ほど何かしたくなります。 しかし、長期投資では「余計なことをしない技術」も重要です。

③ 特集|高配当株投資は「果樹園」を買うイメージ

高配当株投資について、 「配当金がたくさんもらえる株を買えばいい」と考えている方も多いと思います。

これは半分正解ですが、半分間違いです。

高配当株は「果樹園」だと考える

株を1本の果物の木だと考えてください。

毎年その木から取れる果物が「配当金」です。

大切なのは、 今年たくさん実がなった木を探すことではありません。

10年後も20年後も、安定して実をつけられる丈夫な木を選ぶことです。

配当利回りだけを見て株を選ぶのは、 「今年たくさん実がなっている」という理由だけで果樹園を買うようなものです。

木そのものが弱っていれば、翌年には実が取れなくなる可能性があります。

良い高配当株を見る3つのポイント

1

増配

配当金を長期間維持したり、 少しずつ増やしている会社を確認します。

配当利回りの高さだけではなく、 配当を続けてきた実績を見るのがポイントです。

2

現金

配当金は会社のお金から支払われます。

会社に現金がなく、借金ばかり増えている状態では、 高い配当を長期間続けるのは難しくなります。

3

利益

最も重要なのは本業で利益を出せていることです。

利益が長期間減り続けている会社が 高い配当を出し続けることはできません。

「配当利回り5%だから良い株」という考え方は危険です。

株価が急落すると、計算上の配当利回りは高くなります。

つまり高い配当利回りは、 「お得」という意味ではなく、 「市場が何か問題を心配している」というサインの場合もあります。

初心者はETFから考える方法もある

個別企業の決算書を一社ずつ分析するのが難しい場合は、 高配当株をまとめて保有するETFを使う方法があります。

VYM

正式名称は「Vanguard High Dividend Yield ETF」。

米国の高配当株を幅広く保有するETFで、 約600銘柄に分散されています。 経費率は年0.04%です。

1社の減配や業績悪化の影響を抑えながら、 米国の高配当企業へまとめて投資できるのが特徴です。

※米国ETFのため、株価変動だけでなく円とドルの為替変動や税金の影響も受けます。

1489

「NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信」です。

日経平均株価の構成銘柄の中から、 原則として予想配当利回りの高い50社にまとめて投資します。

分配金の支払い基準日は年4回。 信託報酬は年0.308%(税込)です。

日本企業の高配当株にまとめて投資したい人にとって、 個別株を何十社も選ばなくても分散できる方法の一つです。

高配当株だけに資産を集中させない

ここは非常に重要です。

高配当株は、配当金を受け取れる楽しさがあります。 一方で、成長企業への投資が少なくなりやすいという特徴もあります。

そのため初心者の場合、 全世界株式やS&P500などの広く分散されたインデックス投資を資産形成の中心にして、 高配当株を一部組み合わせる考え方もあります。

「高配当株かインデックス投資か」という二択で考える必要はありません。

④ 読者Q&A

Q1. 日経平均が約9%も下がっています。積立額を減らした方がいいですか?

A. 株価が下がったという理由だけで減らす必要はありません。

積立額を決める基準は、 「相場が上がったか下がったか」ではなく、 あなた自身の家計です。

生活費や緊急時のお金を確保したうえで、 今の積立額を10年以上無理なく続けられるのであれば、 基本的には設定を変える必要はありません。

むしろ株価が下がっている時にも同じ金額を積み立てることで、 同じお金でより多くの口数を購入できます。

Q2. 高配当株とS&P500なら、どちらを優先すべきですか?

A. 資産を「増やす段階」なら、まず広く分散されたインデックス投資を中心に考えるのがシンプルです。

S&P500などのインデックスは、 配当だけではなく企業の成長も含めて資産を増やしていく考え方です。

一方、高配当株は定期的に現金を受け取りたい人との相性が良く、 特に資産を使い始める時期には分かりやすいメリットがあります。

ただし年齢だけで決めるのではなく、 「今、配当という現金収入が必要なのか」で考えてください。

今号のまとめ

10月1日から23日にかけて、 日経平均は約9.1%下落しました。

一方、S&P500は約0.6%の下落にとどまりました。

AI・半導体関連株の急落、高い金利、原油高など、 相場が不安定になる材料はいくつもあります。

しかし、長期投資家が毎回ニュースに合わせて 投資方針を変更する必要はありません。

犬である株価は、これからも何度も前へ走ったり後ろへ戻ったりします。

私たちが見るべきなのは、 飼い主である企業価値や世界経済が長期的に前へ進んでいるかどうかです。

積立設定に問題がなく、 生活防衛資金も確保できているのであれば、 今月やることはシンプルです。

積立をそのまま続ける。

それで十分です。

長期投資では「何もしない」ことも戦略。 今日の株価ではなく、10年後の資産を見ていきましょう。
データ・参考資料

・日経平均株価:Nikkei Indexes 日経平均ヒストリカルデータ
・S&P500:S&P500 Historical Data
・市場動向:Reuters 市場レポート(2026年10月)
・VYM:Vanguard High Dividend Yield ETF 公式資料
・1489:NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信 公式資料

※本記事は長期投資に関する一般的な情報提供を目的としています。 特定の金融商品について、購入・売却を推奨するものではありません。 株式やETFなどの金融商品には価格変動リスクがあり、 元本が保証されているものではありません。