長期投資トレーニング講座・第4回

暴落時の判断トレーニング

歴史とデータから、暴落時に何を判断すべきかを学ぶ

TODAY'S CONCLUSION

暴落そのものより、暴落中の判断ミスが長期投資を壊す

株価が下がったことは、まだ売却損の確定ではない
回復前に売却すると、損失が確定する
この講義では「我慢する精神論」ではなく、過去のデータから保有を続ける根拠を確認します。
IMPORTANT PREMISE

回復の歴史が当てはまるのは、広く分散された株価指数

今回の対象
  • S&P500
  • MSCI ACWI(全世界株式)
  • 数百〜数千社に分散された指数
同じ前提で考えられないもの
  • 個別株
  • 特定業種だけのファンド
  • 構成銘柄が少なく、偏りの大きい指数
「過去に回復した」は歴史的事実ですが、「将来も必ず回復する」という保証ではありません。
HISTORICAL FACT

S&P500は、過去の大幅下落を乗り越えてきた

1929年以降に発生した15%以上の下落は、いずれもその後回復しています。

1987年
−33.5%
ITバブル
−49.1%
金融危機
−56.8%
コロナ
−33.9%
2022年
−25.4%
重要なのは「暴落がなかった」ことではなく、大きく下落しても前の高値を更新してきたことです。
RECOVERY TIME

どの暴落も回復したが、回復までの時間は大きく違う

暴落最大下落率高値→底値底値→高値回復
1987年ブラックマンデー−33.5%約4カ月約19カ月
ITバブル崩壊−49.1%約31カ月約55カ月
世界金融危機−56.8%約17カ月約49カ月
コロナショック−33.9%約1カ月約5カ月
2022年下落−25.4%約9カ月約15カ月
「今回は何カ月で戻るか」は分かりません。数カ月で戻る場合も、数年かかる場合もあります。
BEAR VS. BULL

下落相場より、上昇相場の方が長く、上昇幅も大きかった

平均的な下落相場
−33%
平均12カ月
平均的な上昇相場
+265%
平均67カ月
GLOBAL EQUITIES

全世界株式も、50%を超える下落を経験している

MSCI ACWIの最大下落
−58.38%

2007年10月31日〜2009年3月9日

全世界株式の回復例
世界金融危機底値から約3年11カ月
コロナショック底値から約5カ月
2022年下落底値から約1年3カ月
「全世界に分散すれば暴落しない」のではありません。暴落を経験しながら長期的な成長を取りにいく投資です。
WHY INDICES RECOVERED

広く分散された指数には、回復を支えてきた構造がある

企業の成長売上・利益の成長が長期的な株価上昇の土台になる
企業の入れ替え成長した企業の比重が増え、基準を外れた企業は除外される
広い分散一社の破綻や一業種の低迷だけで全体が終わりにくい
配当の再投資受け取った配当も再投資することで回復を早める
それでも回復は保証されません。だからこそ、特定企業ではなく広く分散し、長い運用期間を確保します。
THREE TYPES OF BEAR MARKETS

暴落の原因によって、下落と回復の長さは変わる

イベント型
感染症、戦争、突発的な政治・金融ショック
下落相場:約8カ月
回復:約1年
景気循環型
景気後退、インフレ、金融引き締め
平均下落:約30%
完全回復:約5年
構造型
バブル崩壊、過剰債務、金融システムの問題
平均下落:約60%
完全回復:約10年
問題は、暴落中にはどの種類か断定できないことです。後から分類が変わることもあります。
CASE 1:EVENT-DRIVEN

コロナショックは、急落も回復も非常に速かった

高値 100 底値 66.1 高値回復 2月19日 8月18日
約1カ月で33.9%下落し、底値から約5カ月で以前の高値を上回りました。
CASE 2:STRUCTURAL

世界金融危機では、下落も回復も数年単位になった

高値 100 底値 43.2 高値回復 2007年10月 2013年3月
56.8%下落し、暴落前の高値を回復するまで全体で約5年5カ月かかりました。
CASE 3:CYCLICAL

2022年は、何度も反発しながら安値を更新した

高値 100 底値 74.6 高値回復 2022年1月 2024年1月
途中で上昇しても暴落終了とは限りません。底値は2022年10月、高値回復は2024年1月でした。
REAL-TIME UNCERTAINTY

底値も暴落の種類も、暴落中には分からない

下落開始
一時的な調整?
下落拡大
景気後退?
ニュース悪化
まだ下がる?
回復開始
一時的な反発?
回復を確認してから買い戻そうとすると
回復初期の大きな上昇を逃しやすい
BEST DAYS CLUSTER

最悪の日と最高の日は、近い時期に発生する

上昇率上位20日
10日

年間リターンが
マイナスの年に発生

下落率上位20日
11日

年間リターンが
プラスの年に発生

大きく下がる日だけを避け、大きく上がる日だけ保有することは現実的に困難です。
THE COST OF MARKET TIMING

上昇率上位10日を逃すだけで、結果は大きく変わる

2016年初めにS&P500へ1万ドルを投資した場合の10年間の試算

そのまま保有
$33,492
上位10日を逃す
$17,454
暴落時に売る最大の問題は、その後いつ戻ればよいか分からなくなることです。
PERFORMANCE CHASING

人は上昇後に買い、下落後に売りやすい

株価上昇
安心する
高値で購入
まだ上がる
株価下落
怖くなる
安値で売却
回復を逃す
将来の価格を予測しているつもりでも
実際には直近の値動きに反応している
INVESTOR RETURN GAP

売買タイミングの違いが、実際のリターンを下げている

Morningstar・10年間

ファンドの平均

7.3%

投資家が得た平均

6.3%

年率約1.1ポイントの差

DALBAR・2024年

S&P500

25.02%

平均的な株式投資家

16.54%

8.48ポイントの差

商品選びだけでなく「いつ買い、いつ売ったか」が投資家の結果を左右します。
DECISION RULE

暴落時に考えるのではなく、平常時に判断基準を決めておく

すぐ売らないまず状況を確認
資金を確認近く使うお金か
損失を確認想定範囲内か
商品を確認広く分散されているか
ルールで判断保有・積立・修正
歴史を知る目的は「絶対に大丈夫」と思うことではない
恐怖だけで売らない判断基準を持つこと
1 / 18