〜 顧客の未来を共創するパートナーになるために 〜
本教材が目指すゴール: 60分で顧客の「漠然とした不安」を「具体的な希望」に変え、深い信頼を獲得し、長期的な関係性を築くプロフェッショナルになることです。
コンサルティングの3階層:
有料相談の本質: 60分は「商品」ではありません。あなたというコンサルタントが監督・主演を務め、顧客の人生が好転するきっかけを描く「感動的な60分間の舞台」です。この舞台をいかにプロデュースするかが問われます。
マインドセットやスキルを学ぶと、顧客一人ひとりのニーズが無限にあるように感じて不安になるかもしれません。しかし、実際の現場では過度に心配する必要はありません。
顧客の状況(家族構成、収入、性格、年齢など)は千差万別ですが、その根底にあるニーズは非常にシンプルで、ほとんどが「自分に合ったやり方で資産を増やしたい」という一点に帰結します。
そのため、コンサルティングの基本的な流れは、ほとんどの顧客に共通します。
この「型」が基本になります。また、そもそも顧客は金融知識が豊富ではないからこそ相談に来ています。そのため、専門的で難しい質問をしようにも、できない方がほとんどです。顧客からの質問も共通したものが多くなる傾向にあるので、経験を積むほどに落ち着いて対応できるようになります。安心して、目の前のお客様との対話に集中してください。
顧客の現状を評価・診断するだけでは三流です。
【鑑定士の例】「貯蓄率が15%ですね。平均的です。」
【主治医の例】「なかなか貯蓄が増えない状況なのですね。どこに原因があるのか、一緒に生活習慣(=家計)を見直して、改善策を考えていきましょう。」
私たちは、顧客の人生に深く関わる責任と覚悟を持つ主治医です。
事前アンケートから、顧客の状況について3つ以上のシナリオ(仮説)を立てます。これにより、当日の対話に深みと柔軟性が生まれます。
【仮説の例】
・仮説①(表層):単純にNISAの始め方が知りたいだけかもしれない。
・仮説②(深層):将来への漠然とした不安があり、NISAはその解決策の入口として考えているだけかもしれない。
・仮説③(背景):過去に金融商品で失敗した経験があり、人を信じられない状態かもしれない。
準備したシナリオに固執しすぎると、顧客との「今、ここ」での対話が疎かになります。例えば、iDeCoの完璧な説明を用意していても、顧客が「子供の教育費」について話し始めたら、迷わずそちらに舵を切りましょう。顧客の言葉こそが、その日の本当の議題です。
あなたは尋問者ではありません。冒頭で「今日は何でも話してくださいね。うまく話そうとしなくて大丈夫です。一緒に頭の中を整理していく時間にしましょう」と伝えることで、顧客が安心して話せる「安全な港」となります。
傾聴(アクティブリスニング): ただ聞くのではなく、「相槌(なるほど)」「ミラーリング(〇〇だったのですね)」「要約(つまり△△ということですね)」を使い、深く理解している姿勢を示します。
質問: 「将来について、漠然と不安なんですよね…」という顧客に対し、「その不安は、具体的にいつ頃、いくらくらい必要だと考えている時に感じますか?」と質問することで、漠然とした不安を具体的な課題へと導きます。
顧客が考えている「間」は、内省が深まっている貴重な時間です。焦って言葉を継がず、「どうぞ、ごゆっくりお考えください」という気持ちで見守りましょう。沈黙を待てるコンサルタントは信頼されます。
人の心は「べき論」では動きません。「私が答えを教えるのではなく、〇〇さん自身が『これだ!』と思える答えを一緒に見つけるのが私の役割です」というスタンスで、顧客自身が気づくプロセスをデザインする「コーチ」でいましょう。
複雑な話をシンプルな形に翻訳します。オンラインならZoomのホワイトボード機能やMiroを、対面なら紙とペンを使い、顧客の話をその場で図解します。
【翻訳の例】「なるほど。つまり毎月の収入から支出を引くと手元に残るのがX円で、この中から将来のために投資に回せる金額を見つけていきたい、というご認識で合っていますか?」と確認します。
「なぜもっと早くやらなかったんですか?」は禁句です。代わりに「色々な事情があって、これまでなかなか手を付けられなかったんですね。大丈夫です、今日がスタートの日ですから一緒に始めましょう」と伝えることで、顧客は前向きな気持ちになれます。
100点の計画書は行動のハードルを上げます。いきなり月5万円の積立を目指すのではなく、「まずは今週末に証券口座の資料請求をしてみる。これが素晴らしい第一歩です」というように、心理的ハードルの低い「ベビーステップ」を提示しましょう。
解決策を押し付けず、顧客自身に選んでもらいます。
【提示の例】「今日からできることとして3つのプランが考えられます。プランAは『固定費削減』、プランBは『少額からの積立投資』、プランCは『副業での収入UP』です。どれが一番、今の〇〇さんにとってしっくりきますか?」
長期コンサルの案内は、あくまで選択肢の一つとして提示します。「もし、今日お話ししたプランを一人で進めるのが不安でしたら、私が1年間伴走するサービスもあります。あくまで選択肢の一つですので、ご興味があれば後ほど詳細をお送りしますね」という低圧な伝え方が、結果的に信頼を高めます。
一度きりの関係で終わらせないようにしましょう。この出会いをきっかけに、顧客の人生に長期的に関わっていくという視点を持つことが、真のプロフェッショナルであり、あなたのビジネスを安定させる鍵となります。
セッション後の御礼メールは24時間以内に送りましょう。その際、「特に〇〇について悩んでいらっしゃったので、参考になりそうな記事のリンクを貼っておきますね」といったパーソナルな一文を加えることで、顧客との心理的な距離がぐっと縮まります。
テンプレート通りのフォローは簡単ですが、心は動きません。上記のような「あなただから送っている」という一手間が、その他大勢のコンサルタントから抜け出し、長期的な信頼関係を決定づけるのです。