長期投資マガジン365 (2025年9月15日号)

長期投資マガジン365へようこそ。このマガジンは、投資初心者の皆さまが長期的な視点で安心して資産形成を続けていくためのヒントを隔週でお届けします。

9月前半(9/1~9/12)の株式市場は、日米ともに力強い上昇を見せる展開となりました。今回は単なる結果報告だけでなく、なぜ株価が上昇したのか、その「背景(メカニズム)」についても詳しく掘り下げていきます。相場が好調な時こそ、その仕組みを理解し、私たち長期投資家が持つべき視点を再確認しましょう。

【2025年9月前半】マーケット振り返り:なぜ日米ともに株価は上昇したのか?

9月第1週・第2週のマーケットは、S&P500、日経平均株価ともに堅調な上昇トレンドを描く結果となりました。短期的な過熱感を指摘する声もありますが、まずはその上昇の「仕組み」を理解することが大切です。

S&P500:上昇トレンド継続、6,500ポイント台後半へ

米国のS&P500は、9月2日の取引開始時(約6,415ポイント)から堅調に推移し、9月12日(金)の終値では6,584ポイント台に乗せました。この約2週間で2.6%以上の上昇となりました。

【株価上昇の背景】なぜ米国株は上がったのか?

米国株の上昇は、主に「金利の動向」と「景気の先行き」という2つの要因が大きく影響しています。

  • 要因(1) 金利(利下げ)への期待:
    中央銀行(FRB)が政策金利を引き下げると、企業は銀行からお金を借りやすくなり、設備投資などを行いやすくなるため「景気が良くなる」と期待されます。また、投資家にとっては、銀行預金や債券(固定金利)の魅力が下がるため、相対的に「株式」にお金が流れ込みやすくなります。9月前半は、将来的な利下げ(あるいは金融引き締めの終了)を市場が前向きに織り込んだことが、株価の追い風となりました。
  • 要因(2) 景気(ソフトランディング)への期待:
    これまで市場は「インフレ退治(利上げ)が行き過ぎて、景気後退(リセッション)に陥るのではないか」と心配していました。しかし、最近の経済指標が「インフレは落ち着きつつも、景気はそこまで悪化しない(=ソフトランディングできそう)」という見方を強めたため、投資家の安心感(リスクオン心理)が広がり、株が買われました。

日経平均株価:44,000円台後半へ大幅上昇

日経平均株価は、米国市場以上に力強い動きを見せました。9月1日(月)の約42,188円からスタートし、9月12日(金)には一時44,800円を超える場面もあり、終値で44,768円台に乗せています。この期間の上昇率は実に6%を超えています。

【株価上昇の背景】なぜ日本株は米国以上に好調だったのか?

日本株の上昇には、米国の株高(要因1)に加え、日本特有の「円安の効果」(要因2)が加わった「ダブルの効果」が働いています。

  • 要因(1) 米国株との連動:
    上記の通り米国株が好調だと、世界の投資家心理が楽観的になり、その流れが日本市場にも波及します。特に日本のハイテク関連株(半導体など)は米国市場との連動性が高く、米国株高に引っ張られる形で上昇しました。
  • 要因(2) 「円安」による業績アップ期待:
    日本には自動車や機械など、海外に製品を輸出して利益を上げている企業(輸出企業)が多くあります。例えば1ドル=140円よりも1ドル=150円の「円安」になるほうが、海外で稼いだ1ドルを日本円に両替した時の「円建ての利益」は自動的に増えます。円安の進行は、これら輸出企業の業績(決算)が良くなることへの期待につながるため、株価が上昇する大きな要因となります。
長期投資家へのアドバイス
このように株価が動く背景には様々な要因がありますが、重要なのは「これらの要因を正確に予測し、投資タイミングを当てることはプロでも不可能に近い」という事実です。

私たちがすべきことは、好調な時も不調な時も、こうした短期的な動きに一喜憂憂せず、決まったルール(積立)を淡々と続けることです。

今週の資産形成ヒント:なぜ「ドルコスト平均法」は最強のメンタル安定剤なのか?

相場の背景を理解すると、「もっと上がりそうだから今すぐ買おう」「円安だから少し待とう」といった「タイミング」を計りたくなります。しかし、それこそが長期投資の失敗の入り口です。だからこそ「ドルコスト平均法」の重要性を再確認しましょう。

ドルコスト平均法とは? メリットとデメリット

ドルコスト平均法とは、毎月1万円、毎月5万円など、「決まった金額」を「決まったタイミング(毎月など)」で、同じ金融商品を機械的に買い続ける投資手法です。新NISAの「つみたて投資枠」は、まさにこの手法を実践するための制度です。

メリット
  • 価格が高い時は少なく買い、安い時は多く買える(平均取得単価の平準化)。
  • 最大のメリット:投資タイミングに一切悩まなくてよい。
  • 相場の上下動(ボラティリティ)を長期的に味方につけられる。
デメリット
  • 一貫した右肩上がりの相場では、最初に一括投資した方がリターンは高くなる。
  • 短期間で大きな利益を狙う手法ではない。

「高値掴みの恐怖」と「買い逃しの焦り」からの解放

私たち人間は、感情の生き物です。今のような上昇相場では「今買わないと乗り遅れる(焦り)」と感じ、逆に下落相場では「もっと下がるかもしれない(恐怖)」と感じて買うこと(積立)をためらってしまいます。

ドルコスト平均法は、こうした人間の「感情」を投資から排除し、「ルール通りに買い続ける」ことを助けてくれる、最強のメンタル安定剤なのです。相場を見ずに、自動積立(ほったらかし)を続けることが、長期投資成功の鍵となります。

読者のギモン解消! Q&Aコーナー

投資初心者の皆さまから寄せられる疑問にお答えします。

Q. 円安が進んでいますが、今からS&P500などの米国株積立を始めても大丈夫ですか?

A. 結論から言えば、長期投資であれば全く問題ありません。むしろタイミングを気にして「始めない」ことの方が大きなリスク(機会損失)になります。

確かに、円安の時にドル建て資産(米国株など)を買うと、将来円高になった際に円ベースでの評価額が目減りする「為替リスク」は存在します。

しかし、15年、20年という長期スパンで、為替がこの先円安になるか円高になるかを正確に予測し続けることはプロでも不可能です。

ドルコスト平均法で毎月積立を続けることは、為替レートに対しても「時間分散」の効果をもたらします(円高の時も円安の時も淡々と買い続けるため、為替レートも平準化されていきます)。

為替の短期的な変動を気にするよりも、投資対象(米国企業全体や世界経済全体)の長期的な成長を信じて、コツコツと積立を続けることを最優先しましょう。

Q. S&P500とオルカン(オール・カントリー)、どちらを選べば良いか迷い続けて投資を始められません。

A. まず知っていただきたいのは、この2つは「どちらも長期積立投資先として非常に優れた選択肢」であり、どちらを選んでも長期的に見れば「大きな失敗」にはならない、ということです。

どちらを選ぶかは、ご自身の「投資哲学」によります。

  • S&P500がおすすめな人:
    「これからも米国経済が世界を力強く牽引する」と強く信じる方向け。世界最強の企業群(米国)に集中投資するイメージです。
  • オルカンがおすすめな人:
    「どの国が勝つかはわからないから、世界経済全体(米国も含む)に丸ごと投資したい」方向け。究極の分散投資であり、将来米国以外の国が大きく成長した際も、その恩恵を自動的に受けられます。

もしどちらか一つに決められないのであれば、「両方に半分ずつ投資する」というのも全く問題ない、合理的な選択肢です。

最も避けるべきなのは、「悩み続けて投資をスタートしないこと(その間の成長を取り逃す機会損失)」です。まずはどちらかで(あるいは両方で)少額からでも始めてみることが大切です。


9月後半も引き続きマーケットの動向に注目が集まりますが、私たち長期投資家は短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点を忘れずに資産形成を続けていきましょう。

次回の「長期投資マガジン365」(10月初旬号)もよろしくお願いします。