生命保険の失効は意外なリスク【要注意】

生命保険の失効は意外なリスク【要注意】

生命保険の基礎知識「失効とは」

 

生命保険は厳密な契約事項である

過去ある奥様から相談を受けたことがります。ご主人を亡くされた奥様(55歳)Aさんは、化粧品会社に勤務されている会社員の方です。「ちょっとご相談したいことがあります」ということで都内の喫茶店でお話を伺いました。

Aさんのご主人が亡くなって半年後に保険証券が見つかって8000万円の保険に加入していた事が分かり、請求しようとしたが保険が失効していてすでに無効状態になっているとのこと。

このままでは老後資金が不足してしまい、どうしようもないのかというご相談でした。調べた所ご主人の亡くなる1年前に失効していたようでした。

生命保険には失効というルールが存在します。失効とは2ヶ月連続で保険料が未払いだった場合、契約自体が無効状態になることを指します。

保険契約が失効するといいます。一定期間内であれば失効しても契約を元に戻すことは可能です。その手続きを復活手続きと言いますが、未納分の保険料を一括で支払う必要があったり、健康状態の審査が再度必要であったりと簡単ではありません。

生命保険は保険料を支払っている間は常に失効リスクがあることに注意が必要です。

せっかく加入した保険が失効し運よく復活手続きができれば良いですが、復活できなかった場合、少なくともはじめに加入した条件では契約できません。

 

生命保険には失効がある

生命保険は、保険会社と個人との厳密な契約事項になります。

ですから細かいところまで規定があります。その1つに失効がありますが、「失効」とは、保険料の支払いが無かったため契約の効力がなくなる状態を言います。

保険自体が無くなりますので保険会社は保障する責任も無くなります。2ヶ月連続で保険料が支払われなかった場合に失効してしまいます。1ヶ月なら猶予期間がありますので不足分を納付すれば契約に問題は発生しませんが、2回分の保険料納付がされなかった場合契約自体が無効になるというルールになっています。

保険料を終身払いにしている方は、将来失効のリスクがある点を把握しておいたほうがいでしょう。

終身払いは死ぬまで支払い続けるという支払い方ですので自分にアクシデントが起きて口座残高が不足していつのまにか失効していたという例は少なからずあります。

長い年月保険料を支払い続けて、いざ保険金を請求したら失効していたなんてことになれば目も当たられない状態になりますから。

保険料の支払い期間は少なくとも、現役中に終わらせる設定にするべきです。FP相談を受けている中で多いのが、医療保険やがん保険を終身払いにしている方です。

終身払いは毎月の保険料はやすくなりますが、一生払い続けますから結果的に保険料支払い総額は高くなります。

同じ保険を買うのに一番損な支払い方となります。さらに失効のリスクまで一生付きまといますから、毎月の保険料が安いからという理由だけで終身払いを選択するのは避けたほうが無難です。

 

保険契約の「復活」手続き

生命保険の仕組み失効

一度失効してしまっても、未払いを支払うことで契約を「復活」させる事が可能です。

ただし、保険会社ごとに3年以内など期間が設けられています。また失効中の保険事故に対しては保険は効きませんので注意が必要です。

また「復活」手続きでは、未払いの保険料を一括で収めたり、健康状態の告知が再度必要であったりとハードルが高いです。現在の保険が失効することのないように注意した方が良いでしょう。

万が一健康上の問題が発生すれば、復活できないリスクがあります。そうなればせっかくそれまで納めてきた保険料が無駄になるだけではなく、同じ保障内容の保険に加入しようとすれば、かなり割高が保険料になってしまいます。

 

保険料引き落としの口座を夫婦で分けている場合は要注意

今回のAさんの場合、夫婦で保険料引き落とし口座を別々にしていた上、口座管理自体も夫婦それぞれが管理していた事が失効の原因の1つと考えられます。

ご主人の口座の状況が把握出来ないからです。ご主人には持病があり、万が一「失効」してしまうと二度と保険には加入出来ない状態でしたから絶対に失効してはいけないケースでした。

普通は、「事前通知」という、保険料の催促や執行に関する情報が郵送で送られますので契約者が気づかなくてもご家族が気づくケースが多いです。

しかし、ご主人が保険契約の住所を自宅とは違う場所にしていたため、奥様は事前通知も知ることがなくいつの間にか失効してしまったのです。

普通は担当者がなんとか連絡をとり確認する必要があるのですが、最終的には契約者自身で失効リスクを把握しておき、失効しないように気をつけておくしか手はありません。

契約がなくなるのは契約者ですから気付いた時には手遅れの状態にならないよう必ず支払いができているかや、保険会社からの郵送物はチェックしておきましょう。

 

「失効」は担当者から連絡がある

保険の失効の仕組み

保険担当者からの連絡もあるはずです。担当者は、お客様の保険が「失効」してしまった場合どんなリスクがあるか十分に分かっていますのでなんとか失効を避けるため、引き落としがないお客様にはすぐに連絡があるはずです。

特に今回のAさんのご主人の場合は、持病をお持ちでしたら絶対に失効させてはいけないケースです。

失効してしまえば、奥様の生活資金や老後資金はショートしてしまうからです。保険は加入して終わりではありません。

実際に保険金や給付金という現金を受け取って初めて意味があります。

保険会社にとっても保険金をお振込した瞬間に納品完了となります。そういう意味で、入口よりも出口の方がはるかに重要になるものです。

ですから、保険はどういう商品に入るかと同じくらい、誰から入るのかにもこだわった方が良いです。誰に任せるかでその後のフォローも変わってきますので出来る限り安心感のある担当者に任せた方が良いでしょう。

強引な勧誘で加入を勧めてくるような営業に任せるのは絶対にやめるべきだと思います。そのような営業マンは契約に興味があってその後のフォローにはあまり興味ないケースが多いからです。

 

まとめ

生命保険契約における「担当者」とはいったいどんな存在でしょうか。

「契約する時は一生懸命で、そのあとは全く音沙汰ない」という話はよく聞きます。担当者によっては1000人を超えるような契約者を抱えていますので、マンパワー的にアフターフォローにも限度があります。

特に用事もない時でも頻繁に情報提供して欲しいや、保険以外のファイナンスに関する相談にも答えて欲しいなど、様々な要望を持っている方もいます。生命保険における担当者は非常に重要です。アフターフォローも重要ですが、それよりも重要な場面があります。

給付金や保険金を請求する時です。普段のアフターフォローはあれば望ましいですが、なくてもそれほど困らない人が多いでしょう。

しかし、給付金や保険金を請求する時は必ずアクシデントが起きているはずです。その際に担当者がしっかりとフォローしてくれるかどうかはお客様の精神的ストレスに直結するからです。

ただでさえ、大変な時に給付金請求や保険金請求の手続きをお客様だけで、漏れなく正確に行うのはかなり難しいでしょう。

入院給付金のみ請求して、通院給付金の請求を忘れていると言うケースは良くあります。

中には思わぬ特約が適用になるケースもあります。保険会社は、お客様から請求のあったものが正しいかどうかのみ査定します。

ですから他にも適用されるものがあるかどうかなどは基本的に調査しません。あくまでも請求は契約者が実施するものです。

そこできちんとした担当者であれば、請求漏れも防げますし安心感があるでしょう。保険は加入する時よりも、納品時に担当者の良し悪しが出るものだと言う事です。

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